さくらのレンタルサーバにownCloudを入れてクラウドストレージ化

このサイトをリニューアルすると同時に、それまでGoDaddyのWordPress専用サーバを使っていたところから、さくらのレンタルサーバに引っ越ししました。今の世の中、WordPress専用サーバもあるし、VPSもあるし、それなのになぜ普通のレンタルサーバに戻ったのかと疑問に思う人もいるかもしれません。

なぜ、普通のレンタルサーバか?

ただ、いろいろな種類のサーバでWordPressサイトを運用していると、最終的にはレンタルサーバが安心という思いに至ります。それは、WordPerss専用サーバと違ってWordPress以外のことができるとか(当たり前ですが)、ちょっと手の込んだメンテナンスをしたいときにSSHが使えたりして自由が効くとか(その点、GoDaddyのWordPress専用サーバはSSHが使えました。かなり制限キツかったけど)。

VPSとの違いは、とにかく誰かが運用してくれているという安心感です。VPS(AWS EC2もそう)はたしかに自由だけど、ありとあらゆるサーバメンテナンスは全部自分でやらないといけません。お勉強になるから、やってみた方が良いとは思うけど、安定して動いていて欲しいサイトはやっぱりプロに任せた方が良いと思うのです。

さくらのレンタルサーバでownCloudは動くか?

自分のサーバをDropboxやOneDriveのようなクラウドストレージにするツールとして、ownCloudがあります。Community版であれば無料で使用することができます。

https://owncloud.org/

今までも、VPSなどを使っている時にownCloudを入れた経験はあります。

ownCloudはPHPといくつかの拡張モジュールが動けば導入可能で、比較的簡単に準備出来る環境で大丈夫なので、もしかしたらレンタルサーバでも?と思って、やってみました。

ちなみに、さくらのレンタルサーバでは、さくらポケットというクラウドストレージサービスが提供されているのでそれでも良いのですが、ownCloudの方がPCやMacとの同期が可能など、機能が圧倒的に優れています。

さくらのレンタルサーバはFreeBSD

そうなんです。Linuxの採用が多いレンタルサーバの世界で、さくらのレンタルサーバは昔からFreeBSD。実はownCloudの導入時に、最初にワーニングが出るのはその点です。でも、結果から言うと導入可能です。きちんと動作しています。

導入は簡単

やってみたところ、導入は簡単に進めることが出来ました。

ownCloudのダウンロードと展開

まず、上記のownCloudのサイトからCommunity版をダウンロードして、/home/ユーザ名/www/ownCloud等の場所に展開します。こんな感じに。

cd www/
wget https://download.owncloud.org/community/owncloud-10.0.10.tar.bz2
tar xjf owncloud-10.0.10.tar.bz2
cd owncloud

サブドメインとSSLの準備

次に、さくらのレンタルサーバの管理画面で、ownCloud用のサブドメインとSSLを準備します。
準備したサブドメインの対象フォルダとして、先ほどownCloudを展開したディレクトリを指定します。

SSLはLet’s Encryptが使えるようになっているので、それで充分でしょう。

MySQLの準備

ownCloudはファイル管理のためにデータベースを必要とします。デフォルトではSQLiteが使用されますが、MySQLなど他のデータベースの使用が推奨されているので、さくらのレンタルサーバの管理画面でデータベースを追加します。

ファイル保存用ディレクトリの準備

標準ではownCloudのディレクトリの配下にファイルを保存しますが、そのままではownCloudを介さなくても普通のWebアクセスでファイルが見えてしまうので、/home/ユーザ名の直下(Apacheの管轄外)にディレクトリを作って、そこにファイルを保存するようにします。

ownCloudのインストール画面を開く

後は、準備したサブドメインをブラウザで開くと、ownCloudのインストール画面が立ち上がるので、MySQLの接続設定、ファイル保存用ディレクトリの設定などを行います。管理ユーザの登録もここで行います。

画面の指示通りに進めれば問題ありませんが、上記のとおりFreeBSD環境なのでワーニングが表示されます。そこは無視ということで。

ownCloudを使いましょう

これでownCloudが使えるようになりました。PC/Mac/iOS/Androidのいずれにもクライアントアプリが準備されているので、それぞれにインストールしましょう。また、WebDAVでもアクセスできるので、DocumentsなどWebDAVに対応しているiOSアプリなら、直接ownCloudのファイルにアクセスすることも可能です。

また、ownCloudにはPDFビューアーや、オーディオプレイヤーなど、様々なアプリも準備されているので、適宜インストールして使うことができます。

さくらのレンタルサーバは、私が契約しているプレミアムプランだと200GB、手頃なスタンダードプランでも100GBのストレージが準備されており、WordPressの運用程度だとはっきり言って90%以上は余ります。その領域をownCloudで使用することによって、他のクラウドストレージのサブスクリプションの契約を打ち切ってしまうことも可能でしょう。ぜひ、試してみてください。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。