WAP2.0でiモードとEZwebの仕様が1つに

WAP Forumは8月1日に、WAP2.0をリリースしました。前バージョンであるWAP1.0は、コンテンツ記述言語としてWML1.0とHDMLを採用し、日本ではKDDIがEZwebとしてサービスしています。WML1.0はXMLベースの言語でしたが日本では採用されず、もっぱらHDMLによる開発が行われています。HDMLは普及した技術であるHTMLとの差異が大きく、開発者が容易に移行できなかったために、HTMLベースのCompactHTMLを採用し、膨大なコンテンツを持つNTTドコモのiモードと比べると、コンテンツ量の差が著しく、iモードとの加入者数の差は広がる一方で、EZwebは苦戦を強いられてきました。

一方、日本では圧勝のiモードも、あくまで日本独自仕様であるために、WAPが幅を利かす欧米では受け入れられるのかは疑問です。

今回のWAP2.0は、NTTドコモとエリクソンの提案が受け入れられた形で、コンテンツ記述言語にはWML2.0としてXHTMLが取り入れられています。また、通信プロトコルもインターネット標準のTCP/IPが採用されたために、普通のインターネット=iモードと似た構成になっています。

KDDIは既にWAP2.0のサポートを明言していて、(それがWAP2.0端末であるかは不明ですが)今秋にはXHTML対応端末を発売する方針です。一方、NTTドコモもWAP2.0への移行を本格的に検討している模様で、WAP2.0採用が決まれば日本独自仕様によるサービスから、世界標準のサービスに展開できますので、世界進出をもくろむNTTドコモとしてはグッドニュースになります。

両社がWAP2.0を採用すれば、コンテンツ記述言語はXHTMLに統一されることになるでしょう。XHTMLはXMLで定義された言語であることから、当然XMLとの親和性は高いわけで、XMLベースのシステムが普及する一つのきっかけになることでしょう。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。