知的生活には快適な環境が不可欠

中学生くらいの頃だったか、私の一つのメルクマールとなった本に、講談社現代新書の渡部昇一著「知的生活の方法」がある。中学生の頃というと、もう10年以上も昔のことになるが、その当時でも十分に古い本で、地元にあった100円均一のセルフサービスの古本屋で買ったのである。書いてあった内容の古さはさておくとしても、ここに書いてあった知的生活には憧れを抱いた。この本が言う知的生活とは、基本的に本を買い、読む生活である。本を読む時間をどう工面するか、買い込んだ本はどこに置いておくか、どういう食事が良いかまで書いてあったと思う。仰天するのは、結婚はしないほうが良いとまで書いてあったことだ。(残念ながら、今、この本が手元にないのだ。この辺り「知的生活の方法」はちっとも実践されていない。)

最も印象深いのは、ある小説にあった話を取り上げたところ。知的生活を送るにはあまり恵まれた環境にはない妻子持ちの男が、それでも何とか時間を工面して、最新の論文やら何やらを読み、日々、カードにまとめている。それを、たしか10年だか20年だか続けているうちに、その分野で一角の人物となり、新しい接着剤を開発する云々という内容だったと思う。

当時からパソコンが手元にあったので、私が始めたのはカード型データベースを使って何かやろうということだった。私が今、こうやってブログに文章を書いたりしているのも、公開するか否かの違いはありこそすれ、この影響が大きい。ブログはどうしても書く内容が分散しがちだったり、公開する以上はある程度人の目を意識することになるので、この本で謳われている知的生活とは結構、違う。今やっていることは、どちらかといえば表現する知的生活だから。それでも、例えば、自分が「何かのプロフェッショナルになりたいな」と思っていたりするのは、やはり、「知的生活の方法」が大きく影響している。

ところで、なぜまた急に、こういう話を始めたのかといえば、「知的生活の方法」には、とにかく家にエアコンを付けろという話があるからだ。本を読む生活をするには、日本の蒸し暑い夏はまったくもって不適であり、当時からすれば相当な出費と思えるが、それでもエアコンを付けろと説いているのだ。そう、私がこの話を始めたのは、エアコンを買ったからである。今まで、この家にはエアコンがなかったのだ。去年の2月に引っ越してきたが、夏は扇風機で、冬はハロゲンヒーターで過ごしたのである。冬はまだしも、夏は辛かった。特に、去年の夏は会社を辞めたばかりで、基本的には家にいて、行政書士の勉強をしていたから、なおさら辛かった。そもそも、暑すぎて、勉強に手がつかなかったのである。去年の夏にエアコンがあったら、私の人生は変わっていたかもしれない。行政書士の試験に受かっていたかもしれない。…まぁ、それは言い過ぎであるけれども。

買ったエアコンは、三菱電機の霧ヶ峰のいちばんシンプルなやつ。(http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/lineup/j/index.html)
ワンルームだが、若干広いので10畳用を買った。さすがに取り付け工事が込み合っているらしく、実際に取り付けられるのは7月21日の土曜日である。まだ、先は長い。

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この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。