日雇い労働者

茂木健一郎とGoogleブック検索に惹かれて「プレミアA」を見ていた。それに関しては、まぁ、大したこともなかったが、それよりも印象深かったのは格差社会に関するレポートだ。最近、こういう内容のレポートが多いのだが、気が付くとつい見てしまうのは、自分がその底辺にいるようになってしまっていたかもしれない…という実感があるからだ。だから、今日のレポートに登場した3人についても、何らかの共感を抱いてしまう。

夢を持ちつつ日雇いの人、何も背負わず日雇いの人、仕方なく日雇いの人。2番目の人はモーオタ。マンガ喫茶暮らしで3年、好きなのは辻ちゃん、そしてマンガ喫茶で見てたのはDohhhUP!だった。「テレビとパソコンがあれば良いですから」という言葉も、頷けないではない。彼はマンガ喫茶に月に72,000円も払っている。多摩に住んでいる私の家賃より高い。それでも、ちゃんと住もうと思ったら敷金・礼金が必要だし、いろいろかかる。ある程度の貯金がないと、家を借りるということは出来ないのだ。それに、日雇いで仕事をすると、なかなか月払いに戻れない。日雇いの給料を貰えなくなってから、月払いの給料を貰うまでの1ヵ月半くらいある無給期間をいかに過ごすか。それを考えると、日雇いはなかなか抜け出ることが出来ないのである。それから、3人目の人。正社員になるには何らかの資格が必要。でも、資格を取るための時間やお金は無い。

う~む。自分も少しの間は日雇いでイベントスタッフをやっていたし、今はSEの派遣だが、給料の支払いはまだ月払いではない。早く月払いに戻そうと思っている。格差社会の最下層にはいないが、かなり下のほうにいる。それでも、未来に希望を持とうと思えば持て、家賃を払って住所(居所でなく)があり、税金も払っている。日雇いから、そこに戻れたのは、自分がSEという仕事が出来たからである。

そう考えればSEの仕事は割が良い。イベントスタッフでどんなに頑張っても、日雇いである以上はしばらく続けている経験者でも1日に1万円といったところだが、SEはその倍近くもらえる。まがりなりにも専門知識ある技術者として、社会に認められている故だ。

私に、その末席にでも加わる能力が無ければ、九州の実家に戻っていたか、東京にいたとすれば、間違いなく彼らと同じ生活をしていたはずだ。今の私が、何かを語るというわけではないが、現実味のある希望を未来に持てることに感謝の気持ちを持たねばならないと思っている。

あとは、滝川クリステルの感想も聞きたかったな。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。