デアゴスティーニの「落語百選」に入っている「時そば」が凄い

隔週刊の分冊形式でおなじみのデアゴスティーニ・ジャパンから、「落語百選」シリーズがはじまりました。古典落語が中心になるかと思いますが、100本の落語をDVDで50回に分けて揃えるという趣向。

例によって半額となっている初回は、古今亭菊之丞さんの「子ほめ」、入船亭扇辰さんの「目黒のさんま」。
勢いに乗って第2号も買ってきました。こちらには、柳家喬太郎さんの「時そば」、五街道雲助さんの「芝浜」が収録されています。

非常に定番どころの選択で、「時そば」などは何度も聞いたことがある噺ですが、これを新作落語を得意とする喬太郎さんがやると、あれ?これって新作だっけ?と、つい思ってしまうほどの味付けになっています。DVDの収録が入っているということを意識したネタも出てきて、「本当のこの噺を聞きたかったら、別のCDを買え!」なんて…。
特に枕から本筋につなげるところで、駅の立ち食いそばの話が出るのですが、この部分だけでも結構長くて、じゅうぶん一つの新作になっているのではないか?と。

落語家さんが枕から本筋の噺に入るときには、羽織を脱ぐというのがポイントになりますが、これも駅そばの変わり種メニューである「コロッケそば」のコロッケに自分を見立てて、その衣がそばのつゆに溶けゆく様子として、羽織を脱ぐわけです。
羽織を脱ぐという仕草を、これだけネタと同化させてる人なんて、初めて見ました。すげー。

ところで「時そば」といえば、以前、ニフティの「ぽっどきゃすてぃんぐ寄席」で、笑福亭里光さん(たぶん。鶴光さんの弟子だったのは間違いない)が「時うどん」をやっているのを聞いたことがあります。
その時は、「あぁ、関西弁でやるためにアレンジしたんだな」と思っていたのですが、そんな浅はかな思い込みは駄目ですね。落語百選の冊子を読んでみると、上方でやっていた「時うどん」の方が先で、それを三代目柳家小さんが東京に持ち込んで「時そば」になったとのこと。
勉強になります。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。