中国への3G携帯の技術提供とCCC制度

中国とITというテーマで、最近話題の2つのキーワードを考えてみます。

1つは、国内市場が飽和しつつある携帯電話技術の中国展開です。先日の首脳会談でも3Gおよび3.9Gの技術提供が決まっており、また日本の携帯コンテンツの海外展開という面でも動きが出てきています。

もう1つは、中国が独自に展開しようとしているCCC制度です。中国で販売するソフトウェアのソースコードを、セキュリティを守る目的で中国政府に開示しないといけないというものです。日米欧各国の猛反発があり、対象が政府調達のものに限定されたり、開始時期が1年間先送りになったりしました。

「市場は魅力的だが、政策的リスクがある」という、中国という国の特徴がそのまま出ているのは実に興味深いのですが、そう眺めているわけにもいきません。具体的に何が問題なのでしょうか。

まず、ポイントとなるのは、CCC制度の対象になるソフトウェアは限定されているということです。さすがの中国でも、何でもかんでもソースコードを出せといっているわけではありません。携帯電話に使われる技術のうち、実際にソースコードを提供しないといけないものは、あまり多くはないのではないかと思います。特に携帯コンテンツに関しては、ほとんど無関係といえるのではないでしょうか。

ソースコードの提供対象になってしまった場合は、対象部分を切り出して、認証を受けた中国製品に置き換えるという手段を採ることで、機密の流出という最悪の事態は回避出来るでしょう。

中国政府と日米欧政府の動きを注視しつつ、出来うる自衛手段を講じて、中国進出を進めていく必要があるようです。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。