Twitterをキャンペーンに使うにはリアルタイム特性を100%使い切ること

リクルートがチケット共同購入サービスPomparadeを7月21日「11時」からリリース(サービス開始)します。それに併せて、7月15日「16時」~7月21日「20時」までリリース記念Twitterキャンペーンを展開しています。

今までの企業によるサービス提供において時間を厳密に指定することはあまりなかったのではないでしょうか。もちろん内部的には時間を決めておく必要がありますし、余計なトラブルを防止する目的からあまり目のつかない場所に小さな文字で時間が書いてあることはありました。つまり、今までは年月日さえ明確なら時間はそれほど重要ではなかったのです。しかし、Pomparadeのキャンペーンサイトを見ると時間が明確に書いてあります。

それはなぜでしょうか。Pomparadeが提供するサービスそのものやキャンペーンに使っているTwitterが持つ時間軸が、年月日レベルではなく時分レベルだからです。

Pomparadeの提供するチケット共同購入サービスは、米国ではフラッシュマーケティングと言われているもので、短時間で注文を締め切るECサイトのことです。Pomparadeでは販売期間は24時間から長くても3日です。短時間で多くの注文を集めることによって、商品を提供する店舗から団体割引相当の値段を引き出します。よって、顧客が一定数集まらなければ注文は成立しないことになります。短時間で注文を集めることが最大のポイントで、24時間で募集→注文→一定の注文数に到達→成約と進んでいきます。リアルタイムとは言わないまでも、今までのECサイトの時間軸とは明らかに違います。

Twitterキャンペーンはさらにリアルタイムを追求しています。キャンペーン内容は、Pomparadeの公式アカウント(@pomparade)をフォローした上で、特定のハッシュタグ(#pomparade)を加えて「あなたが行ってみたいプチ贅沢なお店・場所」、「やってみたい、プチ贅沢な体験」をツイートします。すると、抽選でJCB商品券が当たるのですが、その当選発表が15日、16日、20日、21日の10時~20時の間に「2時間おき」にTwitterで発表されるのです。17~19日の連休が抜けているのは残念ですが、2時間おきに当選者が発表されるというのは、まさにリアルタイム。Twitterの特性を存分に生かしたキャンペーンといえます。

キャンペーンサイトでは、ハッシュタグで検索したツイートをリアルタイムで流していますが、1分に10~15件程度のツイートが行われており、なかなかの盛り上がりを見せているようです。

CNETにPomparadeを運営するリクルートの出久場氏へのインタビュー記事が掲載されています。

フラッシュマーケティングの手法を取り入れた、米「Groupon」型の共同購入サービスは国内で15サイト以上登場している。今回リクルートが共同購入サービスに参入するにあたり、出木場氏は(1)「Hot Pepper」や「じゃらん」などで多様な商材を取り扱っており、クライアントユーザーとの接点が多い、(2)営業部隊を各地域に設置している、(3)既存メディアでも培ってきた企画提案力がある――という3点を強みに挙げる。

リクルートではこれまで既存媒体でも積極的に企画提案型の営業を行ってきた経験がある。そのため出木場氏は、「店舗に対して『(割引価格を)安くして下さい』と言うのではなく、同じ店舗でも“ちょっとした贅沢”を提供できる」と語る。競合については、「今はたくさん出てきているが、そのほうがいい。切磋琢磨していい商材を提供できればいろいろな街が活性化すると考えている」(出木場氏)とした。

この記事にあるようにリクルートは積極的に企画提案型の営業を行っていることを考えると、今回のキャンペーンで集まった「あなたが行ってみたいプチ贅沢なお店・場所」、「やってみたい、プチ贅沢な体験」のツイートをもとにした店舗への企画提案もあるのではないでしょうか。

ネットを使って何かする場合に、短時間、出来ればリアルタイムですることは重要なポイントであると思います。特にTwitterはリアルタイム特性が強いことから、その特性を100%使い切ることが大切なのではないでしょうか。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。