10代目金原亭馬生「目黒のさんま」

ネットで楽しめる落語を紹介するシリーズの第4弾。昭和57年に亡くなった10代目金原亭馬生の「目黒のさんま」をご紹介します。

動画は、昭和55年にNHKで放送されたもの。

10代目の馬生さんというと、昭和の大名人のひとりである古今亭志ん生の長男で、女優の池波志乃さんの父親として有名。弟も名人と言われた古今亭志ん朝。馬生さんのお弟子さんには、私の好きな五街道雲助さんもいます。

柔らかな語り口で、「目黒のさんま」では家臣の様子や、世間知らずの殿の様子を面白く語っています。殿が普段、毒味で干からびた鯛を食べるというストーリーがありますが、その際に馬生さんのやる顔と体の動きが印象的なのです。あまりに印象的だから、後でそのことを語らなくても顔と体の動きだけでそれを表現しています。

この顔と体の動きなんですが、ふと気付いたことがあります。同じような動きを今、爆笑問題の太田さんがやってるんですよ。太田さんもかなり落語を見ているようなので、インスパイアされているのではないかと思います。こういう古い映像にふとした拍子に出会うところが、YouTubeの面白いところだと思います。

ところで、NHKオンデマンドの特選ライブラリーで「NHK特集・びんぼう一代」という古今亭志ん生の一代記が配信されています。立川談志がナビゲーター、番組内のミニドラマには池波志乃や林家木久蔵(現・木久扇)が出演しています。馬生さんのインタビューもあります。木久扇さんがよく師匠である林家彦六の物真似をしますが、彦六さんのインタビューも入っています。これを見ると木久扇さんの物真似がいかに正確かが分かります。落語に興味のある方なら、一度見ておいて損のない番組です。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。