【仙台遠征シリーズ2】一番町・東一市場にある不定期営業の当たり店「気仙沼食堂」

さて、仙台遠征シリーズの第1弾は、どこのお店にも入らず、ただ昼食として牛タンを食べるに終わってしまったのですが、夕方になって国分町のホテルからいそいそと外に出てみました。

国分町・一番町でお店探し

夕方から夜に移る紺色の空の国分町は、昼間とは打って変わった賑わいを見せていました。これは行けそうだなと安心して、辺りをふらふらと歩いてみたのですが、意外と一人では入れそうな感じがない。まだ、時間が早かったか・・・。

それでも、ふらふら歩いて一番町というショッピングストリートへ。さすがに健全なショッピングストリートだから、「餃子の王将」とか「てんや」とか。居酒屋にしても全国チェーンのところばかり。さすがに「仙台に来て餃子の王将で一杯やりました!」なんて記事を書くと、皿やらジョッキやらが飛んできそうなのでパス。

こういう時は、とにかく脇道に入るに限ります。もともと、昼間の偵察時から「立呑み」とかいうのれんは探し当てていたので、そちらの方へ。
仙台三越の手前、一番町の餃子の王将の向かいにある脇道を入っていくと、「東一市場」という細い通りがあります。ここが、店の数は少ないけれど、新宿思い出横丁のような雰囲気になっていました。やっぱり、脇道を入るのが正解。

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これは商店街側から入った脇道を抜けたところ。一気に風情が変わりますね。

不定期営業の「気仙沼食堂」

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もともと目を付けていた立呑み店は、18時過ぎの時点で既に満員御礼という感じだったので、もう少し中に入った「気仙沼食堂」へ。
まだ仕込みの最中といった感じでしたが、中に入ると「どうぞ」ということで、この日の最初の客になりました。

お店の人は厨房の中で仕込みをしていた1人だけ。カウンターに4人、あとはテーブルが2つくらいで、全部で10人も入ったら息苦しくなりそうな小さな「気仙沼食堂」ですが、お店の人と話をしてみると、その人こそ実は飲食店を何店舗かやっている社長さん。

以前はその従業員に任せていたらしいのだけど、配置転換とかあって任せる人がいなくなったから、たまに社長自らが出てきてお店を切り盛りしているとのこと。
だから「不定期営業」なんだそうです。「不定期休」じゃなくてね。

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食べ物メニュー。海鮮系の串焼きとか炒め物が多かったので「やっぱり串焼きとかですかね?」なんて聞いてみると、大間で揚がったマグロがあるというのと、北海道から来たサンマがあるというので、両方とも発注。

笹かま、マグロ、サンマ

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お通しは笹かまを炙ったもの。なんか、こういう地元のものがお通しで出てくると、良いですよね。あー仙台なぁって感じで。
普通の蒲鉾だと、おせちで出てくるかそばやうどんに入っているくらいの印象しかないのですが、笹かまだと一気に酒のアテだなとなりますね。なぜだろう。

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次は大間で揚がったマグロ。
良い色ですね。色というか彩ですね。いや、艶ですかね。(艶は「いろ」じゃなくて「つや」か。)
赤身ですが、脂がのっていて実に旨かったです。

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サンマ。せっかく東京から来たので色々食べるだろうということで、半身にしてくれました。

気仙沼産はまだ早いということで、この日は北海道産。
どこで獲れたものかをきちんと意識して食べるって良いですよね。サンマは漢字で書くと「秋刀魚」なわけですから、暑い暑いといいながらも秋が来てるんだなと。でも、まだ北海道産だということで、秋と言い切るにはまだちょっと早いんだなぁ。

これは実に旨かったです。炭火で焼いているところがカウンターから見えるので、あぁ焼けてるな、表面がチュープー言ってるなというのを見学してから、味わうのは格別。焼き魚好きとしては半身といわず、丸ごとでも良かったか・・・。

日本酒で行こう!

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ところで、冷奴(笹かまの前にこれも発注してました)だの、笹かまだのとやっているうちに、最初に頼んだビールはすっかり空。

じゃぁ次は・・・と、飲み物メニューを見てみると、日本酒の銘柄が気になりますね。いつもなら焼酎・芋ということで「黒霧島か、んー黒白波でも。あ、黒糖焼酎の喜界島も捨てがたい。えぇい、ここは喜界島だ!」なんて言うところですが、ここは仙台。しかも、日本酒の産地が気仙沼、石巻、大崎・・・。となると、やっぱり日本酒じゃないだろうか!

ここで「やっぱり日本酒が良さそうなんですけど、いつも焼酎ばかりで日本酒は分からないんですよね」なんて言ってみると、じゃあ、ちょっとずつ出すので飲み比べしてくださいなんていう、嬉しすぎる回答。

まずは「別格本醸造(気仙沼)」から。
これ、敢えて純米とか吟醸じゃなくて、本醸造なんだそうです。甘みが少なく、辛口でさっぱり飲めます。
(本醸造は精米歩合が70%以下で醸造アルコールが入ったもの、純米は醸造アルコールが入っていないもの、特別純米は醸造アルコールが入ってなくて精米歩合が60%以下のもの。吟醸と名が付くと吟醸造りという製法で吟醸香という固有の香りが楽しめ、大吟醸となると精米歩合は50%以下になる。)

結局、純米の日高見、特別純米の墨廼江(すみのえ)まで飲み比べは進みました。

IT業界の吉田類

最初は私がカウンターにいるだけでしたが、そうこうするうちに次々とお客さんが入って来ました。それが、結構一人の人が多いんですね。だいたい、厨房にいる社長と顔なじみといった感じ。

最終的に、その社長に「IT業界の吉田類」という称号を戴いて、常連さんに紹介してもらったり、お話しをしたりと、カウンターに4人で詰めて座って、いろいろ仙台の酒場事情といったものを伺っておりました。

仙台の街にも横丁のようなところがいくつかって、今でも残っているところがあるようですが、3.11の大震災でダメになったりしたところが多いということでした。震災自体でダメになったところもあり、震災以後に関連法規が厳しくなってやっていけなくなったところもあるようなんですね。

この辺は非常に難しい問題で、当然に地震や火事といった災害への対策は必要なのですが、それですべてがチェーン店のような近代的なお店ばかりになってしまって、横丁の風情を失ってしまうのは心苦しい。

常連の皆さんに「当たり」と言われる

ところで、お店に入って「実は一人飲みで全国を回っていて」なんて話をした途端に、社長から「自分で言うのも何ですが、うちの店に来たのは当たりですよ」と言われたのですが、次々とやってくる常連さんにも、「当たり」、「当たり」と言われるんですね。なんか、凄い。

いやもう、たしかに「当たり」なんですね。
ツマミも旨い、お酒も種類は少ないけれど良いものを選んでくれている。お店の雰囲気も良い。
ただ、不定期営業というのが残念で、次に仙台に行ったときにやっているかは時の運。まぁ、その辺もプレミア感があって、良いようには思いますが。

ぜひ、次に「気仙沼食堂」に入った時に、この記事を読んで(だったら嬉しいな)訪れたお客さんに、僕が「当たり!」と言いたいものです。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。