【Watson】Dialogなどが非推奨、Conversationが登場

この7月から8月にかけて、Watsonのサービスに変更がありました。
まとめておきたいと思います。

Dialogが非推奨、Conversationが登場

まず驚いたのが8月15日にDialogが非推奨になり、Conversationが登場したことです。
Dialogは8月15日に非推奨、9月8日からは新規インスタンスの作成が終了し、来年の8月9日に廃止と発表されています。

DialogはXMLベースの専用言語を使い、チャットBotなどで会話を実現するためのサービスでした。私も何度か使ってみたのですが、専用言語の理解が難しく、人工知能的な要素もあまりなかったため、興味を惹くことがありませんでした。Watsonを使ってチャットBotを作るならDialogよりもNLCやR&RをSlackのBotKitなどと組み合わせて使う方が良いのではないかと。

Conversationが登場

一方で、Conversationという新たなサービスが開始されています。

Conversationは、Watson Developer Cloudの説明をみてもチャットBotに触れられていますし、Dialogよりも使いやすいサービスになっていることを期待します。

こちらはIBM公式のConversationの説明動画です。Intents、Entities、Dialogの3つの概念で構成されていることが分かります。

ざっとドキュメントを読んでみる限り、Intentsは何についての会話を始めるか「きっかけセリフ」を分類するもの、Entitiesは同じ意味の言葉をまとめるもの、Dialog(既存のDialogサービスではなくConversationサービス内の概念としてのDialog)は会話のやりとりを作るもののようです。

ちなみに、既存のDialogサービスからのマイグレーションパスは準備されないようです。

Conversationで日本語は使えるか?

Watson Developer Cloudのドキュメントでは対応言語に日本語は含まれていません。しかし、Conversationの設定を行うツールには言語のプルダウンに日本語が含まれていて、どっちが正しいのかよくわからない感じです。これは、また試してみようと思います。

Watsonの日本語化は日本IBMとソフトバンクの共同作業で行われていますが、Dialogは日本語対応したサービスの1つでした。しかし、そのDialogはあっという間に非推奨に…。そうなることを知っていて日本語対応を進めたのか、梯子を外されたのか…。ただ、Conversationの内容を見るとDialogとの共通点もなんとなく見えるので、Dialogが日本語対応していたことを踏まえて、Conversationの日本語対応も迅速に進むのでは…と期待したいところです。

(2016/8/29追記)Conversationのドキュメント上、日本語には未対応なのですが、IBMが提供しているツールでは日本語対応が入っています。いちおう使えるようですが、Conversationのフル機能が使えているのかは不明です。

Concept InsightsとRelationship Extraction

こちらはまだ日本語対応していなかったサービスですが、Concept Insightsは8月12日で、Relationship Extractionは7月27日に廃止や非推奨となっています。

どちらもAlchemyLanguageに類似のサービスがあるので、そちらに移行ということでしょう。

IBMがAlchemyAPIを買収して、WatsonとAlchemyAPIの統合が進むのは分かっていましたが、すべてWatson側に寄せてAlchemyと名の付くものはそのうちなくなるだろうと思っていました。しかし、Concept InsightsやRelationship Extractionの動きを見ると、AlchemyAPI側に寄せることもあるんですね。ちょっと、驚きでした。’

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。