必要なのはモノとコトのサービス化

昨日、私も会員になっている中野のコワーキングスペースICTCO(中野区産業振興推進機構)で、いろいろと打ち合わせがありました。そこで、アイディア出しのようなことをしたり、雑談したりというこをしたのですが、そこで1つの気づきを得ることができました。

それは、モノやコトをサービス化するということです。

いや、それ自体はもう、あちこちで言われているし、自分も言っているし、それだけなら気づきでも何でもないのですが、実際にどんなモノやコトをサービス化するかとか、どうやってサービス化するかとか、そういう具体的なことがちょっと見えたような気がしたのです。ただの言葉が視覚的なビジョンに変わった瞬間を得たというか。

どんなモノやコトをサービス化するのか

私はずっとIT系の人間で、出した本も技術的なものですし、どうしても物事の考え方がIT寄り、ツール寄りになってしまいます。だから、何かアイディアを出せといっても、モノ思考になりがちなんですね。ただのITシステムというよりは、IoTが入ってみたりして物理的なモノ(ハードウェア)にはなるのですが、せいぜいその程度。

でも、「私、ITのことはさっぱり・・・」という方と話をする。もっといえば、ITとは全然違うところで、自分のポリシーを持ってキャリアを築いてきた方、いや、キャリアを築く中で自分のポリシーを築き上げたといった方が良いのかもしれませが、そういう方とお話しさせていただくと、おおっ!という気づき、着想につながることがあります。

20~30年前の当たり前

ここに書くことについて許可を得ているわけではないので、具体的な内容は差し控えますが、例えば20~30年くらい前なら当たり前だったようなことでも、いまはプライバシーとかセキュリティとかコンプライアンスとかで出来なくなったこととかあるわけです。特に人と人の出会いがあるようなことでは・・・。

とはいえ、そういうことって大事なことだよね、いまの世の中にそれがないのは残念だよねってこともあります。じゃあ、それを復活させようという話もあるわけですが、やっぱりプライバシーとかセキュリティとかコンプライアンスとかあって、上手くいかない。そもそも、そういう環境で育った若者とかは、社会的にそういう制約がなくなったとしても、個人的にリミットをかけてしまうのではないかという気がします。

そこで、もしかしたら上手くいくかも?というのが、それをサービス化しちゃうという方法です。少額でもお金が動いたり、取り持つ人が現れたりする。参加する方も、いちおうお金を払ってサービスを受けるのだから、そういうモードに入れるので、リミットが外せるかもしれない。

そこでIT・IoTを使う

今の時代、サービス化となるとやはりITです。最低限、Webサイトは必要でしょう。スマホアプリもやっぱり欲しい。人をマッチングするような仕組みも必要かもしれない。

ただ、20~30年前にはいまほどコンピュータは使われていなかったし、少なくともスマホはなかった。だから、20~30年前の当たり前をいまの世の中に持ってこようというとき、コンピュータやスマホが前提になるようなことはないのです。すべてリアルの世界でのことだから、そうである以上、リアルな世界のことをどうにかしたい。(なんか話がフワフワし過ぎているな・・・)

で、リアルの世界をどうにかしたいときに必要になるのがIoTです。IoTを使えばリアルな世界をWebとかスマホとかのバーチャルな世界につなげる。

例えば、Akerunという電子錠の仕組みがありますが、これこそリアルな世界のモノですね。鍵というモノを持ち歩いているから、錠(というか扉)というモノが開くわけです。もっと言えば、鍵を持っている人というのは扉を開く権利のある人、つまりその家とか部屋を使える人という証明です。で、その錠をIoT化することによって、鍵はスマホとかでも良くなった。さらにその鍵で錠が開く期間などをITでコントロールできるようになるので、権利についてもITで管理できる。もう、ここまで来たら、決済もITだ、権利関係の記録もITだとかなって、フィンテックだのブロックチェーンだの・・・ということにもなる。

サザエさんの違和感

そんなことを考えていると、とんと見なくなったサザエさんを見た方が良いかもしれない・・・と思えてきました。

最近のサザエさんにはスマホも出てくるらしいですが、たぶん、いまでも磯野家と伊佐坂家は隣り合って、垣根越しにフネさんとお軽さんは話をしているのだろうし、三河屋のサブちゃんは御用聞きに台所の勝手口から顔を出しているのでしょう。

で、そんな光景を実際にいまの世の中で、いまの日本で見ることがありますか?って話です。冷静に考えれば、ちょっとした違和感のある光景が広がっているのがサザエさんの世界です。現実をサザエさんの頃に戻すことはできないとしても、プライバシーやらセキュリティやらコンプライアンスやらを満たした上で、同じ成果を得ることはできるかもしれません。

AmazonのEchoなんぞは三河屋のサブちゃんのIT化であるし、さすがにそれでは味気ないというのなら、Pepperやシャープのロボホンにやらせても良いかもしれない。いや、もっと言えばヨドバシカメラのスタッフが直接商品を配送してくれるサービスとか、コンビニやスーパーの配達サービスという展開もあります。

なんだかフワフワしっぱなしの話になりましたが、サービス化ってそんな風に進めれば良いのかなと思った次第です。こちらからは以上です。’

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。