AWSの機械学習環境 SageMakerを使う時は課金に要注意

最近、WatsonだけじゃなくてAWSの機械学習サービスについても調査しています。

提供されているサービスはざっとこんな感じで、Rekognition(画像認識)などのコグニティブAPI、Machine Learning(CSVデータがあれば機械学習モデルが作成できる)といった以前から提供されているサービスのほかに、昨年の終わりくらいから提供され始めたSageMakerなどがあります。

Amazon SageMaker

SageMakerは機械学習モデルの構築からトレーニング、デプロイまでを一括で管理できるサービスです。構築フェーズではPythonユーザにお馴染みのNotebookを使うことができます。トレーニングフェーズはNotebookのインスタンスとは別にトレーニング用の高性能なインスタンスで行い、さらにできあがったモデルをWeb APIなどとしてデプロイすることができます。

まずはチュートリアルに沿って使ってみようということで、MNISTをK-Meansでやってみました。SageMakerは一般的なPythonのライブラリを使わなくても、組み込みのアルゴリズムを使うことで、より簡単にモデルを作ることができます。(この組み込みアルゴリズムの存在がWatson Studioとは違うところですね。)

課金に注意!

で、チュートリアルはサクサク進んで、モデルを作ってデプロイすることはできたのですが、要注意なのは課金です。

あれれ?147ドル??

理由はこれらしい。モデルのトレーニングまで終わった後のデプロイ先のインスタンスの課金がかかっています。Watson Studioの場合はデプロイするだけでは無料で、実際にAPIが呼び出されて推論の計算を行った場合のみ課金がかかります。しかし、SageMakerの方はデプロイしているだけで課金が発生するようです。

1ヶ月使った場合の試算

ちなみに、このプランのまま1ヶ月動かしっぱなし状態にすると、課金はこうなります。(24時間×30日=720時間)

  • Notebookインスタンス 43.8ドル
  • エンドポイントインスタンス 259.9ドル

トレーニングジョブは1ヶ月動きっぱなしということはあり得ないので計算しませんが、Notebookがだいたい5,000円、デプロイすると3万円近くということに・・・。(さらにストレージ課金がありますが、こちらは大したことはないでしょう。)

モデルのデプロイの際に、画面のデフォルトで進めていったら、インスタンスがml.m4.xlargeだったというのが最大の理由ですが。(インスタンスタイプを選ぶのはAWSの基本中の基本ですしね・・・。)
ちなみに、デプロイで使える最小のml.t2.mediumだと0.0851ドル/時なので、1ヶ月換算で61.3ドル。7,000円くらいはかかる計算です(東京リージョンの場合)。

会社で仕事として使うなら、この程度の課金は経費で処理できるでしょうが、個人でお勉強のために・・・となると、ちょっと躊躇しますね。

サインアップ後最初の 2 か月間に、1 か月あたり、モデル構築のための notebook 利用に t2.medium インスタンスを 250 時間、トレーニングに m4.xlarge インスタンスを 50 時間、リアルタイム推論とバッチ変換用の機械学習モデルのデプロイに m4.xlarge インスタンスを合計で 125 時間、無料でご利用いただけます。

いちおう、最初の2ヶ月だけ無料枠がありますが、できればずっと無料枠があればな・・・と思ったります。(その辺、IBM Cloudは無料枠がずっと残るのでありがたい。)

面白そうなサービスだし、お仕事の絡みもあるので、引き続き調査したいと思いますが、課金については注意が必要そうです。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。