経済産業省関連の補助金まとめ(令和元年補正・令和2年当初予算)

ITコーディネータとしての活動の中で、補助金に関するご相談を受けることもあるので、ちょっとまとめておきます。(株式会社ビビンコとしては、補助金申請の主体にもなるのですが・・・)

中小企業庁関連の補助金

補助金は国が全国的にやっているものと、地方自治体が独自にやっているものに分かれるのですが、国がやっているものについては経済産業省が予算を取って、中小企業向けのものは外局である中小企業庁が中心となって運営する(事務局は外部に委託する)のが基本です。

中小企業庁のWebサイトには、中小企業対策関連予算をまとめたページがあり、ここに中小企業庁関連の補助金についてまとまっています。

このページを見ると、一言に補助金といっても、目的に応じて下記の分類があることが分かります。

  • 生産性向上
  • 設備投資
  • 事業継承
  • 海外展開

生産性向上に関する補助金

このうち、生産性向上に関する補助金は、経産省の「ものづくり・商業・サービス補助金、自治体型持続化補助金、IT導入補助金による中小企業の生産性向上」という方針に沿って運用されており、中小企業庁では「ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の一体運用」を掲げて、この3つの補助金を展開しています。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が実施する「新製品や新サービス提供のための機械設備購入やシステム構築など」や「生産プロセス改善のための設備投資」にかかる費用の一部を補助するものです。

補助率は概ね1/2(小規模事業者は2/3)、補助上限は事業類型により異なります。最も使いやすい一般型(上限1,000万円)は毎年の当初予算ではなく、補正予算でまかなわれるのが通例です。令和元年度の補正予算では、一般型のほか、グローバル展開型とビジネスモデル構築型という類型があり、補助上限は一般型を上回っています。

令和2年度当初予算でまかなわれるのは、国の基本政策であるConnect Industriesに資するもので、企業間連携型とサプライチェーン効率化型の2類型です。

クリックして200212yosan02.pdfにアクセス

採択倍率は例年2~3倍(一般型)となっており、下記の条件を満たす事業計画(3~5年)を策定・実施する中小企業が対象です。

  • 付加価値額+3%以上/年
  • 給与支給総額+1.5%以上/年
  • 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円

国の税金を使って企業を支援するという補助金の性格上、生産性の向上に資する事業であることが当然求められるわけです。

小規模事業者持続化補助金

持続化補助金は、小規模事業者が取り組む販路開拓や生産性向上の取り組みを支援するもので、店舗の改装、ホームページの作成・改良、チラシ・カタログの作成、広告掲載などが対象となります。補助額の上限は50万円、補助率は2/3です。複数の小規模事業者による共同申請が可能となっており、上限は10社で500万円となっています。

ものづくり補助金と同様に、給与支給総額と事業場内最低賃金に関する条件がありますが、持続化補助金では必須ではなく、事業計画にその内容を含めれば補助金が取りやすくなる加点項目という扱いになっています。

IT導入補助金

IT導入補助金は、バックオフィス業務の効率化の付加価値向上につながるITツール導入を支援するもので、導入するITツールはベンダーがあらかじめIT導入補助金の対象になるように登録したものに限られます。また、他の補助金は補助金を受ける事業者が自ら申請などを行いますが、IT導入補助金ではITツールを提供するベンダーが主体となって申請を行うという特徴があります。

補助額は毎年変動があり、令和元年度補正予算で行われる令和2年度の制度では、30万円~450万円となっています。昨年度よりは最低額が下がっており、より小規模の事業で使用可能になっています。補助率は1/2です。

持続化補助金と同様に、給与支給総額と事業場内最低賃金の加点項目があります。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。