Jetson nanoにTensorFlow 1.15とKeras 2.2.5を導入する(Jetpack 4.4)

前に書いたように、Watson Machine Learning(ML)にデプロイするモデルを作るには、TensorFlowとKerasの特定のバージョンを使う必要があります。

Jetson nanoでモデルを作って、Watson MLにデプロイしたいと思うのですが、TensorFlow 1.15とKeras 2.2.5の環境がなかったので、それを作りたいと思います。

Jetson nanoにはあらかじめAnyenvとPyenvをインストールし、PythonとJupyter Notebookの環境ができています。

ただ、環境構築時にPython 3.7をインストールしてしまいました。どうやらJetson nanoにTensorFlow 1.15をインストールするには、Python 3.6の環境が必要そうなので、下記のコマンドでインストールします。

pyenv install 3.6.10
pyenv local 3.6.10

pyenv localコマンドで、特定のディレクトリ(私の場合は/home/{username}/devです)配下で使用するPythonのバージョンを指定しています。

次に、pipのアップグレードを行います。

pip install --upgrade pip

TensorFlowをインストールするには、様々なパッケージが必要になるので、あらかじめ導入しておきます。

pip install --upgrade numpy grpcio absl-py py-cpuinfo psutil portpicker six mock requests gast h5py astor termcolor protobuf keras-applications keras-preprocessing wrapt google-pasta

いよいよTensorFlowのインストールです。Jetson nanoでは、最初にUbuntu環境を構築する際にJetpackが導入されています。Jetson nanoのGPUをTensorFlowで使うためには、このJetpackのバージョンに合わせたTensorFlowのインストールが必要です。

私のJetson nanoは5月くらいに環境構築したので、現時点で最新のJetpack 4.4になっています。そのため、下記のコマンドでJetpack 4.4に対応したTensorFlowをインストールします。

pip install https://developer.download.nvidia.com/compute/redist/jp/v44/tensorflow/tensorflow-1.15.2+nv20.4-cp36-cp36m-linux_aarch64.whl

TensorFlowのインストールが終わったら、Kerasをバージョン指定した形でインストールします。

pip install keras==2.2.5

Jupyter Notebookを入れ直す

先ほど紹介した記事でJupyter Notebookの環境を作っていますが、Python 3.7上で構築したので、今回のPython 3.6の環境では動作しません。そこで、Python 3.6上で再度Jupyter Notebookをインストールします。

pip install jupyter notebook

これでWatson MLにデプロイできるモデルが作成できるはず。この環境でモデルを作成してデプロイできたら、また状況を書いていきたいと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。