神田敏晶さんの立候補に思う

ビデオジャーナリストの神田敏晶さんが参議院選挙に出るとのこと、マニフェストのベータ版を読んでみた。
参議院の存立意義

参議院は、衆議院の法案に対して「YESとNO」がはっきりといえる場なのです。
政治のプロが立案した法案に対して、民間の当たり前の感覚で審査できる場でもあります。

基本的に選挙や政治にWeb2.0ばりのITを活用しようという主張なのだけど、それよりも、参議院の存立意義をきちんと考えている点に注目した。こういう風に考えている限り、「参議院は衆議院のカーボンコピー」だの、「参議院などいらない」だの言われることはないと思うのだ。ただ、本当に参議院に政治の素人だけで構成されたら、緊急集会などはどうなるのだろうか?と思わないでもない。まぁ、その後に開かれる衆議院の議会で再評価されることになるのだが。

「ベータ版」のマニフェスト

Web2.0の「ずっとベータ」に倣ってベータ版なのだと思うけど、ということは、継続的に変わっていくのだろうか。いや、それはそれで良いと思う。出来れば、当選して議員になった後も、更新して行って欲しいくらいだ。まぁ、それはマニフェストと言えども、人間の思考の結果に過ぎず、人間の思考は絶えず変わっていくし、だからスナップショットとしてしか示せない。ただ、それではマニフェストの意味を果たさず、候補者を選ぶ足しにならないということにもなって悩ましい。

ただ、日本国憲法における「全国民の代表」としての議員は、自由委任の原則があるから、必ずしも選挙の時に何か言って、選挙民がそれを受けて選んだからといって、それに政治活動が拘束されるというわけではない。だから、マニフェストは継続的に見て、その人の考え方とか、今の世の中をどういう視点で見ているのかとか、そういう部分を評価して誰に投票するかを選ぶようにすれば、代表者である議員と、国民との間の考えのズレは小さく出来るのではないだろうか。

そんなわけで、マニフェストがベータ版であるのは結構だが、そう謳う以上は、常に更新していって欲しい。ただ、今の公職選挙法では出来ないのであるが…。だから、神田さんが立候補したのか。ふむ。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。