MEDIAS N-04CとMEDIAS WP N-06Cをダブルレビュー

NTTドコモの2011年春モデルとして発売されたMEDIAS N-04Cと、2011年夏モデルのMEDIAS WP N-06C。N-06Cはまだ現行モデルですし、N-04Cは最後の投げ売り状態に入っている様子。見た目も薄さ・軽さも大して変わらない2機種なので、どちらにしようかと迷っている人が多いと思います。そこで、ある事情があってどちらも使うことになった私から、アドバイスさせていただきます。

ボタンだけが残念なMEDIAS N-04C

N-04C

N-04Cを購入したときに書いたレビューがこちらにあります。

自分で買って使い続けようとしているものだけに、購入直後のレビューは基本的に甘めになりがちなのですが、N-04Cについては掛け値なし。本当に気に入った機種でした。薄い・軽いということ以外に特徴のない、派手さに欠けるスマートフォンですが、それだけに実用機として価値がありました。

アプリもAndroid標準のもの以外はほとんど入っていないといないというのもAndroidスマートフォンだけで4機種目だった私には好感が持てました。

手にしてみた感じも、薄い・軽いというだけでなくサイドに金属のフレームが使われていたり、液晶面のガラスがコーニング社のゴリラガラスという強度の高いものであったりと、剛性と気品を両立した高級感のある筐体で、満足できました。

発売直後は勝手に再起動してしまったり、microSDカードを見失うといったトラブルもありましたが、ファームウェアのアップデートで解消し、しばらく蜜月状態でした。そんな甘い期間を打ち砕いたのは、本体下部にある3つの物理ボタンが凹み始めたこと。特に最も使用するBackボタンの凹みが激しく、徐々に押下感がなくなり始め、ついにめり込むという事態に。ドコモのサービスセンターに駆け込んで、新品交換してもらったものの、やはり徐々に凹む様子を見せ始め、ついにN-04Cの使用をやめることを決意したわけです。

N-04Cのボタンはなぜ凹むのか。今まで様々なスマートフォンやケータイ、PDAを使ってきたのですが、こんな初歩的な問題が生じたのは初めてです。めり込んだボタンを引っ張り上げるときに中の構造が見えたのですが、N-04Cの物理ボタンの下には少し厚手のゴムシートを2つ折りにして敷いているだけでした。こういうハードウェアの作りというのは専門ではないので、あまり突っ込んだことは言えないのですが、素人目では、こんなので大丈夫なのかなぁ・・・と思ったのは事実です。

そんなわけでN-04Cの問題はこのボタンの構造1点に尽きると思います。CPUのクロックが同時発売の他機種と比べると低いということを気にする人もいると思いますが、実際に使ってみて問題と思ったことはありません。その薄さのせいもあってバッテリー容量も小さめですが、CPUクロックが低いことも功を奏したのか、バッテリーの持ちは優秀です。バッテリーの持ちに関しては、デフォルトで導入されているアプリが少ないために、ユーザでは制御できない常駐プログラムが少ないという理由もあると思います。

バッテリーの持ちが少し不安なMEDIAS WP N-06C

MEDIAS_wp_N-06C_amadana

N-06Cは、N-04Cのボタンが残念なことになったために、同じ薄型でおサイフケータイに対応していて・・・という条件から選択肢になりました。同じNECカシオであることは気になったのですが、N-06Cはボタンがセンサーキーに変わっているため、同じような問題は起きないだろうと判断し、購入。

N-04CとN-06Cの使い勝手に大差はありません。物理ボタンからセンサーキーに変わって、押下感がない分だけ操作性が落ちますが、その分、配置が画面の直下でふつうになりました。他にも、電源ボタンと音量ボタンの配置とサイズに変動がありますが、それほど操作性に違いはありません。

N-06Cでは防水に対応しました。その割に、厚さがほとんど変わっていないのは特筆に値するでしょう。防水対応のために、充電クレードルが付属するようになったのも地味に便利な点です。

ソフトウェアは大きく変わっています。N-04CではNEC製のアプリはついっぷるとAndronaviくらいでしたが、N-06CではライフログアプリであるDays、ソーシャルメディアから注目トピックを雑誌風に組み立てるTopics、ダイエット支援アプリのWELNESSと充実しています。WELNESSに連動する歩数計もあります。

N-06Cの問題点はバッテリーの持ちが少し不安という点です。上記のようにプリインストールアプリが増えて、ユーザでは管理出来ない常駐プログラムが増えたこと、さらにCPUクロックが上がったことが原因ではないかと思います。ふつうの使い方で1日もたないということはないし、待ち受けについてはN-04C同様に比較的優秀です。しかし、ある程度使っているときのバッテリー消費がN-04Cよりも大きいような印象です。但し、私の用途ではDaysやTopicsの更新も自動で行っているし、iチャネルも入れているといった事情もあるので、その辺は考慮する必要があります。

理想はN-06Cの筐体にN-04Cの中身だった・・・

無い物ねだりをしても仕方ありませんが、私の理想をいえば、N-06Cのセンサーキー&防水ボディに、N-04CのCPUとソフトウェアというのがベストだったように思います。たしかに、N-04CはCPUにしろソフトウェアにしろストイックな構成であり、マーケティング上の問題はあるように思いますが、往年のPalmのように低クロックCPUでもビジネスアプリが小気味よく動き、それ故にロングバッテリーライフになって欲しかったと思います。N-04Cの中身は比較的それに近い構成であったので、筐体だけN-06Cにパワーアップするば、それで良かった・・・。そんな気がしています。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。