上手いレビューイーになる6つのポイント

私が本業としているシステム開発の世界では、レビューはつきものです。他の分野でも、仕事で何か作業をしたとすれば必ずレビューがあるのではないかと思います。
私はレビューが上手い(レビューイー:レビューを受ける人として)と言われることもあるのですが、なぜそう言ってもらえるのだろうかと考えてみました。

ミーティング
ミーティング / Kossy@FINEDAYS

1.レビューイーは攻めていかないといけない

レビューというと、レビューアーにこてんぱんに攻撃されるから、体を丸くして身を守らないと・・・。なんて思っている人は、少なくないかもしれません。
たしかに、レビューアーの指摘にレビューイーが対応するという場面の連続になりがちですが、別にレビューアーはいじめてやろうとか、小さなミスを見つけて怒鳴ってやろうと思っているわけではありません。
レビューを建設的な議論の場所にしようと思ったら、レビューイーの方から質問を投げかけるべきです。質問といっても、あくまでレビューですから「どうしたらいいですか?」という質問はNGです。「こういうことですよね?」という確認を求める質問にしましょう。

2.ポイントをつかんだ説明をする

レビューが始まって、レビューイーが「資料を読んでいただいて何かありましたらご指摘ください」と言ったきり黙ってしまうのは問題だし、かといって資料の上から淡々と読んでいくだけというのも、あまりよいやり方ではありません。
たしかに読み合わせで、上から読んでいくということが必要になる場合もありますが、その場合でも読むスピードや抑揚、声の大小などでポイントを明確にしながら読むべきです。
読み合わせが不要で、サクサクと進めることが求められている場合は、なおさらポイントをはっきりさせなければなりません。

では、ポイントとはどういうところなのでしょうか。

  • 自分が不安なところ・・・作業を進めていて不安になってしまったところは、確認するべきです
  • 重要なところ・・・レビュー対象となる全体を通して、この部分が間違っていたら大事だというところです
  • 複雑なところ・・・あまり重要ではなくても複雑できちんと説明、確認が必要になるところもあります
  • 指摘されたばかりのところ・・・レビュー前に指摘されていたところは、どのように対応したかを説明します

私は、このようなところをポイントとして扱っています。

3.「他にお気づきの点はありませんでしょうか?」は必ず入れる

上記のようにポイントをつかんだ説明をすることは重要で、それは「私は依頼された作業の内容をきちんと理解していますよ」というアピールになって、レビューの前提となるレビューイーへの信頼感を作る効果があります。また、議事進行がサクサク進むことでレビュー参加者の間での達成感を醸成することにも役立ちます。

しかし、こうしたポイントはあくまでレビューイー自身の判断によるものなので、他の人(レビューアー)の視点に立てば別のところがポイントと感じることもあります。なので、「他にお気づきの点はありませんでしょうか?」という言葉は必ず入れなければなりません。
レビューでは、別の人の視点を入れるということも目的の1つなので、重要なことです。また、ちょっと裏技的ですが、レビューアーのことを尊重していますよというアピールにもなります。

4.間を取る

1つの説明が終わった後は必ず間を取るようにしましょう。上記の「他にお気づきの点は・・・」と聞くのも、間を取ることになります。
間を取ることのメリットは、次の説明に入る前にレビューアーの頭をクリアしてもらうことができることです。また、問題が1つ片付いたことが明確になり、達成感につながります。このタイミングで「休憩を入れましょうか?」という流れになることもあります。

5.バランスよくポイントを作る

先にポイントをつかんで説明するということを書いたのですが、そのポイントはレビュー対象の全体に渡ってバランスよく配置した方が良いでしょう。どこか一部に偏ってしまうと、その部分だけのレビューのように感じられて、それ以外の部分は別のレビューをやらなきゃ・・・という風に思われてしまいます。
どうしてもポイントを作れない時は、軽く流し読みしてすぐに「何かお気づきの点は・・・」と聞いて、レビューしたことにしましょう。

6.トラブル発生時は今起きていること、どう対処しようとしているかを説明する

画面操作をしながらのレビューでは、想定外の事象が発生することもあります。そういう事象が起きないように前もって準備しておくのが一番ですが、それでも起きてしまった場合、レビューイーが対処するために黙りこくって作業に没頭するのは最悪です。レビューはレビューイーとレビューアーの共同作業なのですから、レビューアーを置いてけぼりにしてはいけません。
いま、どういう事態が起きていて、自分が何をしようとしているのかを説明しましょう。時間がかかりそうなら、休憩にしてもらうとか、その部分のレビューだけ別の日に回すといった判断も可能になります。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。