新しい生活様式と働き方改革

最近はZoomを使った研修講師のお仕事もいくつかしています。

今週の月曜日にも研修があって、それが終わった後にTwitterに下記のようなことを書きました。

研修のテーマはAIなので、リアルからオンラインに研修の場が移ってからは、withコロナ、afterコロナの世界で、AIと社会の関わりについても多少は触れるようにしています。

厚生労働省のサイトで「新しい生活様式」の実践例が掲載されています。

これを見ると、AI、さらにはリアルの社会での事柄なのでIoTが絡みますが、何かできそうだな…と思うことがたくさん出てきます。「新しい生活様式」には「新しいテクノロジとその応用」が強く求められていると思います。

例えば、「人との間隔を、できるだけ2m空ける」というソーシャルディスタンスについては、よく中国の小学校のニュース映像で1mくらいの長さの風船を帽子に付けている姿をよく見かけます。これを、例えば名札にビーコンを入れてそれが近づいた距離でアラートを出すとかできないかな?とか、そんなアイディアも出てくるわけです。

「日常生活の各場面別の生活様式」というところでも、通販、電子決済、動画、予約、歌や応援は(十分な距離か)オンライン、デリバリーといった具合にITの利活用が前提になっているような記述が多く見受けられますし、それ以外の項目でもIT利活用の可能性はいくらでも出てくるでしょう。

さらに「働き方の新しいスタイル」では、下記のようなことが書いてあります。(→以下のコメントは井上が追記)

  • テレワークやローテーション勤務
    →テレワークは今後当たり前になって欲しいと思いますね。不要不急の出勤はゼロに…。
  • 時差通勤でゆったりと
    →不要不急の出勤がゼロになれば時差通勤すら不要かもしれませんが、もちろん出勤が必要な業種もあるので、ゆったりと通勤できることは何よりだと思います。
  • オフィスはひろびろと
    →昔ながらの古いオフィスだと辛いところ。オフィス物件・リフォーム需要の増大、もしくはそもそもオフィス不要な業種も増える?
  • 会議はオンライン
    →当然。ですが、自宅などのリモートオフィスのネットワーク環境や高性能なPCといった環境整備が重要ですね。ここで5Gという話かもしれません…。
  • 名刺交換はオンライン
    →eightとかはウハウハかも。SNSとかプロフィールサイトのQRコードとかでも良いかも。
  • 対面での打ち合わせは換気とマスク
    →会議室って密室なイメージがあるのですが、換気できるんですかね?

といった具合で、いろいろとこれまでの常識が通用しない世界に変えていくことが求められているのだと思います。

早いところでは今日・明日にも緊急事態宣言が解除されます。しかし、それがイコール、beforeコロナへの完全復帰ではなく、第2波や新たな感染症の出現といった危機と隣り合わせである以上、この新しい生活様式への行動変容を前提とした宣言解除であると理解しなければなりません。

さらに言えば、beforeコロナの時代には「働き方改革」が盛んに謳われていたことを思い出しましょう。厚生労働省のサイトでは、働き方改革についてもいろいろ記載されています。

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

基本的には、生産年齢人口の減少による生産力低下と経済の縮小を防ぐために、働きやすい環境を作って多様な人材の労働市場への参入・復帰を促し、かつITなどを活用した生産力向上を合わせて頑張ろう!という政策だと思います。

「働く方のニーズの多様化」に対応する働きやすい環境とはどのようなものかと考えると、テレワークや時差通勤といった「新しい生活様式」で謳われている事柄との共通点があります。また、働き方改革関連法では、同一労働同一賃金といった雇用形態ではなく労働そのものを賃金に結び付けようという施策もあり、働き方が柔軟になっていく方向性も見えます。

コロナというとんでもない外圧によって、そもそも求められていた変革が一気に進むのでは?という期待感を持っている人は多いのではないかと思いますし(一方で失うものも多いのですが…)、これをチャンスと捉える人もいるでしょう。

AfterコロナをBeforeコロナに復することにしてはいけない。

そのために、私ができることを探っていきたいと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。