本書は、日本のソフトウェア産業がダメな理由を、「ソフトウェア会社」、「エンジニア」、「ソフトウェア業界」、「ユーザー」の4つの視点から指摘している。
- 出来る人ほど、ハズレを引かされる。
- 日本のソフトウェア会社は、顧客の損が自社の得と考えている。
- 日本のエンジニアは、プロとして働くことへの意欲が低い。
- エンジニアの道を追求するのなら、自分の足で立つべき。
- 日常業務からITを切り離せなくなった会社こそIT企業。
- エンジニアは、プロフェッショナリズムにもっとも近い職業の一つ。
私は、派遣での仕事に見切りを付けて、転職活動をしようとしているところなのだが、組織に入れば入ったで、ダメなところがいろいろある。
それを分かった上で、前のエントリーも書いたわけだが、本書を読むと、派遣という現状から一歩進めて個人事業主としてフリーランスを本格的にやるのも良いかもしれない…という思いに駆られた。
それは既に著者が指摘しているように、本書はある程度フリーの立場にある人が集まって座談した内容を、著者の言葉でまとめたものであって、会社よりもフリーの方に誘導されがちだからということもある。
結局、それは入る会社にもよるのだろうが、「何でも人月で考える」とか、「顧客の仕様変更依頼を突っぱねたことが優秀なエンジニアの証(そこまで極端でもないが)」とか、そういう短絡的な自社利益重視の発想に押し切られ、そのうち自然に染まっていくというのは、芳しい姿ではない。
だからといって、フリーならば良いのかというと、必ずしもそうではない。何らかのプロジェクトに入れば、雇い主はソフトウェア会社だから、結局そういう考え方に押し切られがちになる。せいぜい、自由にものが言えるというメリットはあるが、それすらも契約を切られることとの裏返しだから、大したメリットでもない。
いずれにせよ、まず大切なのは、自分がプロフェッショナルなエンジニアたることだろう。それを果たしてこそ、組織とどう付き合うかを真剣に考えることが出来るようになるということだ。