フォロワー数はあなたの評価を決めない

Twitterでは自分のアカウントへのフォロワーが増えるとメールが届きます。とりあえずは嬉しいものですが、そのフォロワーが明らかにフォロー数が多くフォロワー数が少なかったりすると、少しがっかりします。
では、フォロー数に比べてフォロワー数が圧倒的に多い人からのフォローだとするとどうでしょうか。

フォロワーを買い、ツイートを売る

WIRED VISIONに7月12日、フォロワーを買い、ツイートを売る:SNSで金儲けという記事が掲載されました。

『Twitter1k』は、Twitterのフォロワー数を人為的に増やそうとする人向けのパッケージ商品を数多く提供している
自分は重要人物で、多くの人に愛されているし、影響力が大きく、信頼されている。そう見られたい人は、『Twitter』のフォロワーや『Facebook』の友人を数千単位で購入することが可能だ。

Twitterのルールでは、基本的にフォロワーの売買は禁じられている(売り手が、Twitterとの別の契約において許可を得た場合を除く)。またTwitterは、こうしたフォロワーの売買はすぐわかるし停止される、ともしている。しかし、複数存在するこの種のサービスの顧客は、別の経験をしているようだ。

アフィリエイト・マーケターのJonathan Volk氏は、自分がどのように『Followers for Sale』から1000人のTwitterフォロワーを購入したか、その経緯を図表付きで掲載している。急にフォロワーが増えると不自然なので、「非常にゆっくりと」フォロワーを追加する、という推奨設定を同氏は利用した。その結果、Volk氏のアカウントには実際のフォロワーが着実に追加されていったという。

数は影響力を持つ

たしかにTwitterのフォロワー数やFacebookのフレンド数は、ネット上で初めて出会う人を知るための重要な情報になります。フォロワー数やフレンド数が多いと影響力がある人かもしれないと思います。
しかし、フォロワー数と比較して圧倒的にフォロー数が多い場合は必死感が漂います。フォロワー数とフォロー数の比率は同じくらいでもツイート数が少ない場合は、Twitterをやりたいというよりフォロワー数を増やすゲームにでも参加しているのだろうと思ったりします。

そんな中でフォロー数は少ないのにフォロワー数が圧倒的に多い人がいます。例えば@masason(孫正義氏)はフォロー数59に対してフォロワー数は46万を超えています。これは明らかに影響力がある人だと感じます。
フォロー数を増やさずにフォロワー数を増やすという需要は、間違いなくあるわけです。

フォロワー売買への批判

多くのネットユーザは、こうしたフォロワー売買について拒否反応を示します。もしフォロワーを買ったことが発覚したら、そのアカウントはTwitterに居続けることはできないでしょう。ネットユーザの祭りに吊し上げられることは確実です。事実認定がされれば運営側からTwitterアカウントの削除がなされる可能性もあります。
ネットユーザはこうした偽装行為には敏感に反応します。某社が某ブロガーにお金を渡してそれとなく宣伝エントリーを書かせていたことが発覚したとき、ネットは騒然としました。某社と某ブロガーの信頼が一気に失墜したことは言うまでもありません。

あぁ、やっぱりという理解

このWIRED VISIONの記事に対する、はてなブックマークやTwitterでの反応を見てみると以下のようなものがありました。

  • 日本にもある。1ツイート5円とか
  • 何でもビジネスになるんだなぁ
  • 了解していたが、あらためて記事なると穏やかならざる気分だ
  • いやだなぁ
  • こんなの分かるよね、嘘だって

フォロワー売買を肯定する意見は見られませんでした。そういうビジネスがあるだろうと思っていた、既にあるのを知っていたという反応もあります。ブログにせよSNSにせよ、影響力を示す数字があればそれを偽装するビジネスも生まれる。ネットユーザの間でこうした経験値が高まっているのだと思います。

数は真の評価にはならない

上記の反応でも見られたように、こうした偽装は簡単に見破られます。ツイートの内容を見れば良いのです。もともと社会的影響力があるわけでもないのにフォロワー数がやたら多い人のツイートを見ると、本当に価値がある人と、何の価値もない人に明確に区分されます。後者の場合、ツイートの内容は主に宣伝です。しかもボットを使っている例もあります。(ボットを使っていれば、それが明らかに宣伝目的であることが分かるのでリムーブする基準にもなるわけですが。それが分かっていない人もいるようです。)

真の評価は日々のツイートの中から生まれます。あなたが何を考え、どんな気持ちでTwitterと向き合っているのかは、ツイートをしばらく追っかけていれば分かるものです。それがTwitterの真の面白さであり、Twitterをマーケティングだらけの不毛地帯に陥らせない自然の防御壁になっているのです。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。