東北関東大震災で新たに立ち上がったサービスまとめ

東北地方太平洋沖地震の発生から1週間が経ちました。その間、ITエンジニアたちは何をしてきたのでしょうか。震災に関するニュースを見ていると、震源付近で特に大きな被害を受けた方たちはとにかく情報が足りないということを言っていました。当初は安否情報、最近は避難生活に関する情報でしょうか。震源からは離れた首都圏でも、交通や輪番停電に関する情報のニーズが高くなっています。福島の原子力発電所の問題についても、最新情報はどうなのかと気にする人は多いでしょう。

情報といえばITです。テレビ・ラジオ・新聞といったメディアもありますが、ネットメディアも大きな役割を果たしています。ITエンジニアたちも様々な方法で貢献をしたと言えるでしょう。この震災で新たに立ち上がったサービスをまとめました。

Googleによる震災情報のまとめサイトと、安否情報サイトです。Crisis ResponseはGoogleがあらかじめ準備していたサービスで、この震災で初めて適用されたとのこと。
東日本大震災被災地情報サイトは一般からの情報を募って、Google Docsで集約しています。
パーソンファインダーは他の安否情報サービスとの連携を進めています。

非常に充実している震災情報サイトのひとつ。オープンストリートマップが中心となり、震災発生後7時間で開設されました。ニュージーランド地震でも活用されたクラウドソーシングツールUshahidiとAWSが使われています。

#save_miyagiなど県別のハッシュタグがついたツイートをまとめています。
SAVE JAPAN! Projectによる運営で、AWS User Group Japanが運営協力しています。

@yusukebeが始めた、#anpiというハッシュタグがついたツイートをまとめています。

Twitterのまとめサイトですが、政府、地方自治体、メディアのアカウントで絞っているのでハッシュタグのつかない公式情報を得るのに役立ちます。
@takeshig @kamimoo @hindaka @re_days @t01062sy の5人がクレジットされています。

宮城や福島といった東北地方各県と比べて情報が少ないと指摘されていた茨城に関する情報をまとめています。Twitterから県名、市町村名を含むツイートを抽出している様子。
@takahiro_t1122 @n0rt1imp @hamaken119 の3人がクレジットされています。

Wikiで震災に関する情報が集まっています。

Wikiで援助(募金・ボランティア)に関する情報が集まっています。

被災地での生活アイディアをまとめています。Googleサイトで運営されており、編集するためのGoogleアカウントも公開されているので、誰でも編集できます。日本語だけでなく、英語、ハングル、中国語での情報提供も行われています。
NOSIGNER事務所が運営。翻訳協力や情報提供で多くの方が参加されています。

Twitterから市区町村名を含むツイートを抽出している様子。対象地域が広く、携帯電話での閲覧に特化しています。negau.orgプロジェクト(代表@1pacfiresoul)の運営。

Googleマップを使った宮城県の炊き出し場所と緊急避難場所の情報。
「学び合い」マップ管理人が投稿者になっています。

GoogleカレンダーとGoogleサイトを使って、東京電力、東北電力の計画停電についてまとめています。Googleカレンダーなので、自分のカレンダーで見ることが出来て便利です。
@shinagakiが運営。

携帯電話での閲覧に特化した作りで、郵便番号や住所を入力すると計画停電の予定が閲覧できます。
T-Garden,INC.がクレジットされています。

自分のTwitterのアイコンが節電モードになることサービス。節電が必要なピーク時間にだけ節電モードになることで、節電しようという気持ちを思い出させるのがポイント。

震度3以上の緊急地震速報が出るとアラートが出るChromeエクステンション。Mitsuaki Ishimoto氏が開発。

他にもここで紹介していないサービスはいろいろあると思います。ここでは紹介しませんでしたがWebデザイナーの方たちの貢献もいろいろあります。
技術的にはGoogle App EngineやAmazon Web Serviceといったクラウドが、緊急時の早急なサービス立ち上げに役立っていることが目立ちます。また、Twitterが重要な情報インフラになっていることも分かります。

ITエンジニアは様々な貢献が出来ると思います。ここで紹介した新たなサービスの開設はその最も目立つ種類のものです。これだけの震災がありながら日本のインターネットインフラが維持出来ている点は海外からも評価されていますし、既存サービスの運営も維持され続けているのはITエンジニアの活躍の賜物です。

いや、俺は、私は何もしてないぞ・・・と思ったITエンジニアも多いでしょう。私もその一人です。しかし、そうした人たちも必ず何かで貢献しています。この震災とは関係なさそうなどこかの企業のシステムを開発していたって、この厳しい環境の中で「経済を動かすという重要な貢献」をしていることを忘れてはいけません。

それに、この震災を端緒としたITエンジニアの貢献は緊急事態の最中で完結するわけではありません。1年後、3年後、5年後を考えてください。その頃には復興してまたふつうの生活が出来るようになっているに違いありません。しかし、その生活は先週の金曜日の震災前の生活と同じで良いのでしょうか。私は違うと思います。この震災をきっかけにして、より新しい社会、文化が生まれて欲しいと願っています。その新しい社会、文化を日本から生み出すことで、新たな経済の動きを作っていきたいと思うのです。そのとき、ITエンジニアが貢献する場所は必ずあります。

それでは皆さん、歩き出しましょう。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。