スマートデバイスの法人導入は意外と身近なツールが活躍するかもしれない

今日はスマートデバイス関連の某セミナーを聞いてきました。(訳あって何のセミナーかは言えませんが・・・)

スピーカーが基本的に中小企業向けの営業をしている人たちだったからかもしれませんが、意外と身近なツールが活躍するのかもしれないな・・・という感想を持ちましたので、そのことを書いてみようと思います。

ポイントはDropboxとEvernote


Evernote Meetup Paris / Heisenberg Media

セミナーではいくつかの事例が紹介されました。だいたい20〜30人くらいの中小企業の事例だったのですが、そこで活用されていたのはDropboxやEvernoteでした。
しかも、全社員で1ユーザのアカウントを使い回していて・・・。

活用の目的は、とにかく情報の共有なんですね。文書、写真、動画、音声を全社で共有して、しかも柔軟に検索したい。
社内にいる社員にPCで編集してもらって、それが出先の社員にすぐに共有されると良い。
とにかく共有なのだったら、たしかに1アカウントを使い回した方が手軽ですしね。


Dropbox / ilamont.com

私の経験では、一昨年、SaaS型のクラウドサービスを開発しようというプロジェクトがありました。メンバーがほぼ全員兼務で、集まれるのは週に1日だけ。
そういう状態だったので、いかに情報共有をするかがポイントでした。使ったのはDropboxです。各メンバーがアカウントを作って、Dropboxの共有フォルダ機能で共有しましたけど。

あとは、Chatworkも使いました。使い始めた当時、ちょうど話題になっていました。

GoogleドライブかOffice365か

スマートデバイスで使えるオフィススイートで、しかもクラウド型となると、Googleドライブ(Google Docs)か、MicrosoftのOffice365ということになるでしょう。

Googleドライブは個人では無料で使えますが、法人用途ではGoogle Appsが有料だけになってしまいました。(ついこの間まで10ユーザとか20ユーザくらいなら無料で使えたんですけどね。無料だった時点に契約した企業は、今も無料で使えます。Artisan Edgeもそれで使っています。)


Today’s latte, Google Drive. / yukop

機能的には、やはりOffice365の方が豊富です。ワープロや表計算といったOffice機能については、デスクトップ版のOfficeと比べると機能が抑えられていますが、互換性はGoogleドライブよりは良いのではないかと思います。また、ドキュメントの共有を行うSharePoint機能も、Google Appsより便利そうでした。(デモを見た限り・・・)

とはいっても業務特化したシステムも必要

このように、Dropbox、Evernote、Googleドライブとみていくと、これはいわゆる「スマートフォン活用法」的な用途として盛んに取り上げられていることで、私も含めて、多くの人が個人的に活用しているツールです。しかも、多くの人は無料で。(私はEvernoteだけお金を払っています。あとChatworkも。)

こうした無料のツールでも、どうやって使うかという工夫をしていけば、法人でも充分効果が出るということだと思います。ただ、汎用的なツールであるだけに、「どういう使い方をするか」をきちんと整理して、メンバー全員が活用できるように誘導していく流れを作る必要はあります。昨日の記事でオピニオンリーダーの育成がポイントだと書きましたが、まさにそういうことだと思うのです。

ただ、こうした汎用的なツールの活用だけで万全か?というと、そうとも言い切れません。
やはり、業務特化したシステムが必要になると思います。特に企業の本業部分がそれにあたります。
そうした業務特化システムも、徐々にクラウドで提供されるケースが出てきています。そうでなければ、やはり独自開発のシステムを持つ必要もあるでしょう。

スマートデバイスを法人導入する際には、汎用的かつ無料のクラウドサービスの活用と、業務特化したシステムの組合せをどのように作って行くかがポイントになるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。