ノートアプリをJoplinに完全移行した

お仕事でも日々の生活でも、ちょっとしたメモをしておきたいことはたくさんあります。
このお仕事に20年以上も携わって、あるお客様との関係が長くなってくると「あの時作ったあのシステムの様子が変だから見てほしい」とか、過去の記憶を振り返らないといけないよう時にその時のメモがあるかないかは非常に重要です。また、40代になって忘れっぽくなったということもあるかもしれないので、今後のためにもメモの重要性はさらに増していくことが予想されます。

10年くらい前は、とにかくEvernoteを使っていました。なでもかんでもEvernote。普段のメモも、日記も、ちょっと考えをまとめようという時も。さらに紙の書類や郵便物もスキャンしてPDFをEvernoteに保存。そんな感じだったのです。

だけど、ここ数年はEvernote離れが起きていました。Evernoteはなんか重いなぁとか、Markdownが使えないなぁとか。それで、しばらくはOneNoteに行って手書きサイコー!と言ってみたり、とにかくMarkdownだ!とTyporaに行ったり。
OneNoteは大学院の授業で大いに役立っていますし、TyporaはMarkdownやそこに貼り付けた画像がきちんとファイルとして見えることもあって、Typoraで作ったドキュメントをPandocでHTML化して納品というお仕事をやったりしました。

で、そのままOneNoteやTyporaを使い続けるのか?というと、そうも行かない。結局過去のノート資産はEvernoteにあって、それが完全移行できない以上はダメなんです。OneNoteは移行パスもあるので可能性はあったんですけどね。Typoraはファイルとして管理できることが逆に仇で、Evernoteにある数千のノートをファイルとして移行するなんて考えたくないし、そもそもEvernoteからTyporaの移行パスなんてないのです。
ちなみに、最近評判の良いNotionも少し試してみたのですが、どうしてもEvernoteからの移行が固まってしまう。オフラインがあまり想定されていないのもイメージと違う。他にもいろいろ試してみたのですが、なかなかこれだ!というものに巡り会えなかったのです。

Joplinを見つける

でも、何か良いノートアプリはないものか・・・とことあるごとに探していたところ、ついに見つけたのがJoplinです。

Joplinはオープンソースのノートアプリで、下記のような特徴があります。

  • ノートは原則としてMarkdown
  • ノートブック(階層を作れる)とタグでノートを管理できる
  • データは自分の好きなクラウドに保存(同期)できる
    • Joplin Cloudも提供されている(同期が速い、ノートを共有・公開できるといったメリットあり)
  • Evernoteからの移行が可能(EvernoteのデータをMarkdown化できる)
  • ノートに貼り付けた画像やPDFをインラインで表示することができる
  • Webページを取り込むためのChrome/Firefox拡張機能が提供されている
  • スマホアプリが提供されている
  • REST APIが提供されている
  • Electronでできている
  • プラグインによる機能追加ができる

という感じで、私が欲しいものがだいたい揃っています。(唯一ないのは手書き機能か・・・。)

Joplinに移行する

Evernoteのデータもすべて移行できましたし(ノート数が多いのでEvernoteのノートブック単位にエクスポートして、Joplinにインポートしました)、さらにプライベートで書いていた(いま公開していない)WordPressブログの記事や、MacやiPhoneで書いていたDayOneのメモ(一旦、Journeyというアプリに取り込んでからJSONにエクスポート)を、ちょっとしたPythonスクリプトを作ってMarkdownに変換し、Joplinにインポートしました。

それで、現時点で1万を超えるノートと、2万近いリソース(画像やPDF)をJoplinで管理していますが、動作は軽快さを保っています。
データは個人用のOneDriveを指定して同期させていて、データ容量は2.3GBくらいです。同期のもたつきのようなものもありません。(もちろん、大量のデータをインポートした直後の同期はかなりの時間がかかります。)

Joplinの欠点

良いことずくめのJoplinのようですが、欠点がないわけでもありません。

最大の欠点は検索機能の弱さです。EvernoteのようにPDFファイルの中身が検索できるわけではありませんし、OneDriveのような外部ストレージにデータを同期させているので、クラウド側で検索して結果をアプリに返すといった挙動は実現不可能です。
PCで使っている場合はそれほど問題ありませんが、スマートフォンのJoplinアプリを使っている場合はスマートフォン内に(私の場合)2GBを超えるデータをダウンロードして、そこから検索することになります。最近のスマートフォンはその程度の処理は充分こなせるのかもしれませんが、完全に同期が終わった状態でないと最新のノートは検索に引っかからないわけです。

私の場合は、ほとんどどこにでもLet’s noteを持ち歩いていて、スマートフォンに来た通知や電話もLet’s noteで受けている(Microsoftのスマホ同期アプリを活用)くらいなので、Joplinのノートをスマートフォンで検索したいというニーズはほとんどありません。そのため、この欠点が気になることはほぼないのですが・・・。

Joplinを使ってみよう

ということで、私のノートアプリ探しはJoplinがゴールになりました。しばらくは、Joplinで安心してノートを取れそうです。
いま、この記事もJoplinで書いているのですが、いずれはプラグインかスクリプトを作って、Joplinから直接、WordPressに投稿するということもやってみたいところ。

Markdownでノートを取ってみたいなと思う方は、一度試してみると良いのではないでしょうか。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。