著作権の実務家

BizPlus:知財・総務 連載企画:高野誠司氏「日本の「知財」の行方」第44回 著作権制度を俯瞰(ふかん)~特許制度との比較から課題まで~
著作権制度は、無審査であり紛争が起きるまでは、専門家の出番がほとんどない。また、紛争には資力の乏しい個人、あるいは法的執行が厄介な外国人や反社会的団体などが絡むケースが少なくないためか、実務を積極的に担う者は少ない。

そうなのだ。著作権は特に何もしなくても権利が発生するものなので、紛争が起きるまではあまりやることがない。で、紛争になってしまえば、行政書士ではなく弁護士の出番となる。

著作権登録という制度もあるにはあるが、有効活用されているのだろうか。あまり聞く話ではない。おそらく、登録するだけのメリットが見えないのだろう。

ただ、著作権登録等に関する領域は間違いなく行政書士の職域といえる。
なぜなら、著作権という権利を証明する行為だからだ。

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。

と、行政書士法第1条の2に書いてあるとおりだ。

(以下余談)
おそらく、誰の仕事かといえば行政書士の仕事なんだろうけど、仕事といえるほど開拓されていない分野というのは、それこそ山のようにあるのだろう。
よく行政書士が扱える書類は数千種類とか、万を超えるとか言われるが、そのほとんどがこの類と思われる。著作権関連はまだ仕事が見えている方なのだろう。
うまく開拓できれば先駆者としての利益が享受できる。それが行政書士を面白いなと感じるひとつの要因なのだ。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。