30’s INOCCU VISION

私もついに30代になりました。その最初の日に始めたブログの名前が「INOCCU VISION」(つまり、このブログ)でありまして、じゃあ、その30代における私のビジョンって何なのよ・・・。と、そういうことを考えました。RLCでもビジョンの重要性が語られたので、なぜ私が中小企業診断士の勉強をしているのかという観点で、ビジョンを明らかにしようと思います。

私自身のビジョンを語る前に、私がこれからの時代をどう見ているのかというところから始めることにします。まず時代認識があって、そこで自分がどういうミッションを果たすのか。それが、自分自身のビジョンを語る上で必要になると考えます。

これからは「個」の時代である

私が新卒で入った会社を辞めたのは2006年のことで、社会人7年目でした。SEの仕事をひととおり覚えて、リーダーとしての仕事もこなし始めた頃です。その頃、私に鮮烈な印象を与える本と出会いました。梅田望夫氏の「ウェブ進化論」です。この本をはじめとする一連の議論を見て、これからの社会は、WebをはじめとするITによって「個」がエンパワーされ、「個の協働」によって形成されていくのだと直感しました。
この直感が、私の元来の独立願望に火を付けました。これからの時代が「個」の時代であるならば、私はその「個」がリードするフィールドに乗り込まなければならない。そう思ったのです。

Web2.0というキーワードで括られるこのブームは一段落しました。周囲を見回すと、サブプライム問題に端を発する大不況、過剰とも言えるコンプライアンスブーム、さらに派遣切り問題(単純労働力の派遣と話を混同してはいけません)など、「個」の時代が順調に訪れているとは、とても言えそうにありません。
しかし、私は、いずれそのような時代が来ると確信しています。ブログによる個人の情報発信は十分に普及したし、コミュニティ活動は活発になる一方、個人での仕事のマーケットプレイスも登場しています。全体的に見れば、少しずつ「個」の時代になっているのは、間違いないのです。

「個」をエンパワーするITとビジネスのサポート

このような時代認識に立って、私が描く自分自身のビジョンは、自らも「個」として、「個」をエンパワーする姿です。

「個」が充分に機能するためには、企業と遜色のない生産性が必要です。ITは「個」の生産性をエンパワーする強力なツールです。ネットサービスの立ち上げのために起業する必要はないと言われるほど、ITで完結する場合の生産性は、既に充分高いのです。ITがさらに高度に、裾野広く活用されれば、ITで完結しない場合においても、「個」の活躍できる分野は広がっていくだろうと考えます。

「個」が機能するために必要なことは、もう一つあります。それはビジネスが成立しなければならないということです。いくら「個」が高い生産性を発揮したとしても、ビジネスとして成立しなければ、それを続けることは出来ません。しかし、多くの「個」は各々の分野での専門家であっても、ビジネスの専門家ではありません。ビジネスをサポートする人材はいまにも増して必要となります。

私はITの知識と経験(さらに高める必要があるのは当然です)でITによる生産性の向上を実現し、経営について学び、その知識でビジネスをサポートする。そんな、「個」が機能するために「個」をエンパワーする人材になるというビジョンを描いています。

「個」が機能する社会

私は、この世界に生まれてきた人には、必ず何かの特性があり、使命があると考えています。それは人それぞれ違って、その特性を活かして使命を果たすことで、世界が少しずつ良くなっていくのです。そして、人は使命を果たすまでは死なない。根拠も何もありませんが、なぜか確信しているのです。

「個」の生産性が充分に高くなれば、「個」や、その緩やかな連携である「個の協働」によって、人は自らの使命を果たすようになるでしょう。 出来るだけ少ない人数でやった方が、より自由に、より自分自身の特性を活かすことが出来るものです。
別に、大企業のような組織が駄目だと言うつもりはありません。しかし、大企業がすべてという時代は、過去のものになると思うのです。企業に所属するとしても、企業と「個」の関係はいままでより緩やかになるでしょう。

「個」が機能する社会は、「個」が自らの特性を、いままで以上に開放し、十二分に発揮していく社会です。一人一人の人が様々な輝きに満ち、彩りあふれた社会になります。素晴らしい社会だと思いませんか?

いまの立ち位置

私が描いているビジョンは、以上のようなものです。
まずは、自分が「個」として活躍できる実力を付けなければなりません。「個の協働」の中に入っていける人材にならないと話は始まらないのです。
いま、既にフリーに近い立場で仕事をしていて、企業との関係は緩やかなものになっているのですが、「個」として独り立ちできたという状態ではありません。35歳になる頃にはその実力をしっかり付けておかなければ、一人前の生活すら保証されない立ち位置です。
その自己認識を忘れず、日々努力していこうと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。