今日の日経に日本IBMの橋本孝之社長のインタビュー記事が出ています。
橋本氏の見方では、国内IT市場の回復は今年後半から来年にかけてとのこと。
橋本氏によるIT投資の分類が紹介されていました。
- ハードなどを買い換える「設備更新型」 (今後も厳しいという見方)
- セキュリティや内部統制など「義務型」 (既に一巡している)
- 企業の生産・物流合理化など「構造改革支援型」 (今後の注目)
半年後から1年以内に効果の出る構造改革支援型では、引き合いが強いといいます。
企業の基幹系システムは大企業では既に導入が完了し、設備更新が主な需要になっています。今後はまだITが有効活用されていない分野を発掘し、きちんと効果が見えるような提案につなげていかなければ、引き合い、受注にはつながらないものと思います。
一方、設備更新型の投資で今後の目玉になりそうなのは、クラウドコンピューティングです。今日の日経にも「クラウド 産学官で技術開発 フォーラム来月発足」という記事が出ています。
クラウドには、ソフトウェアをネットで提供するSaaS、アプリケーション実行用プラットフォームを提供するPaaS、ハードウェアインフラを提供するHaaSがありますが、いままでの日本企業の情報システムの導入状況を見ると、PaaSかHaaSでソフトウェアは独自開発し、運用コストを下げるという方向性が強いのではないかと思います。つまり、設備更新型の一環として、クラウドに乗り出すというわけです。
一方、義務型の投資では、一定のアプリケーションを企業に導入することになるので、SaaSが普及する可能性があります。
よく見えないのは構造改革支援型の投資です。どのような構造改革に、どのような支援をする必要があるのかを誰が主導するのかがポイントです。ITベンダーが主導できるのなら、構築済みのアプリケーションを提供するSaaSが良いと思いますし、ユーザ企業が主導するのならPaaSやHaaSでアプリケーションは独自開発ということになるでしょう。