ABC 2010 Spring 未来を開く鍵はアプリケーションにある

Android Bazaar & Conference(ABC) 2010 Springに参加しました。
NTTドコモ 山下哲也氏の講演「未来を開く鍵:Smart & Application」は感じるところのある内容でした。
「闘争」という言葉まで持ち出したのは、驚きでした。
技術の進化が、昔ながらの制約をすべて打ち破ろうとしています。だとすれば、すべての要素は再構成されなければなりません。
その再構成にはアプリケーションが必要なのだから、アプリケーションの開発者に求められる責任は重いと言わざるを得ないのです。

今までのアプリケーション
今まで、実現手段の制約、配布手段の限界、コストの問題等があって、せっかく創造されたアプリケーションも単独・孤立したものしか出来なかった。連続する創発が起きる状況になかった。

情報環境の進化
昨今、過去のスパコンレベルの処理性能をXperiaやiPhoneのようなスマートフォンが持っている状況。ブロードバンドも整備され伝達上の問題もなくなりつつある。また、クラウドによって共有についても進化している。
この流れは止まらないと見るべきで、その加速度は猛烈である。我々は、タイムスケールを見直さなければならないだろう。

これからのアプリケーション
猛烈に進化する情報環境の中で、アプリケーションは、必要性・持続性・成長性を担保しなければならない。必要性とは、人や物から必要とされるか?ということであり、アプリケーションが何らかの役割をきっちり担うということ。持続性は継続的に利用されるか、成長性は変化し続ける環境に適応していけるかという視点だ。

すべてはアプリ化される
新聞や雑誌といった伝統的なメディアは、これまで新聞や雑誌という媒体の制約を受けて存在してきた。いま、iPadなど旧来の媒体の制約を受けなくても良いような技術が生まれている。伝統的なメディアはすべてアプリ化されていく。

カテゴライズに意味はない
これまでは個別最適化が重視され、利用環境や形態は一定という前提があった。これからは全体最適化が重要であり、利用環境や形態は不定である。こうした世界では、全ての要素は再構成される。あらゆる要素を繋ぎ、新たな経験を創り出していくのはアプリケーションだ。
いままであった何かではない、新しい何かを作り出して行くプロセスは、ある種の闘争である。アプリケーションの開発者は、「因習を斬り、斬新な価値観を作り出す」、「最高の経験の創造を求める」、「可能性を信じて挑戦する」という思想が必要になる。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。