エゴグラムをコミュニケーションに活かす

エゴグラムをご存知でしょうか。

バーンの交流分析では、親らしさのP(Parent)、大人らしさのA(Adult)、子供らしさのC(Child)の3要素が用いられたが、デュセイは、Pの部分を、厳しい親であるCP(Critical Parent)と、優しい親であるNP(Nurturing Parent)に、Cの部分を、自由奔放な子供であるFC(Free Child)と、従順な子供であるAC(Adapted Child)に分類し、5つの部分が放出する心的エネルギーの高低によって、その人の性格を知る。
それぞれの要素は、高いほうが良いとか、低いほうが良いとかいうわけではなく、あくまでもその人の性格や人との関わり方などを表したものであり、人の優劣を表すものではない

ある研修で私のエゴグラムを作成したところ、自由奔放な子供FCと、厳しい親CPのエネルギーが強いことがわかりました。明るく無邪気でユーモアがあり、自分の価値観を信じていて責任感が強い。一方で、わがままで自己中心的なところがあり、他人に批判的ということのようです。良いところと悪いところがありますね。
これは、どのエネルギーにも言えることで、Wikipediaの説明にあるように、人の優劣ではありません。自分がどのエネルギーが強いかを意識して、そのエネルギーを強く出し過ぎないように注意すれば良いわけです。一方、弱いエネルギーは必要に応じて強めに出すようにします。

このようにエゴグラムを自己理解のために使うだけでもコミュニケーションを改善するために役立ちますが、コミュニケーションの相手のエゴグラムも理解するとさらに役立ちます。
私のエゴグラムではFCとCPが強いのですが、相手も同じようなエゴグラムであれば、コミュニケーションは良好になりやすいといえます。しかし、相手がNPとACが強いといったように正反対であったとしたら、コミュニケーションを良好にするにはお互いの歩み寄りが必要になります。

特にエゴグラムが正反対の相手が上司と部下の関係だとしたら、上司はその部下のことを低く評価しがちになります。もちろん、それは公平な評価とは言えないので、上司としてはまず低く評価しがちであることを理解しなければなりません。そして、部下のエゴグラムに合わせる配慮が必要となります。(相手のエネルギーの強いところに自分のエネルギーも強く出すようにして、弱いところには自分も弱くする。逆にいえばエゴグラムが同じであれば、このような配慮が不要になるので、コミュニケーションが楽であり、無意識に評価が高くなりがちとなる。)

ところで、自分のエゴグラムは自分で診断テストを受ければそれで分かるので良いですが、相手のエゴグラムはどうすれば分かるのでしょうか。これは、日々の観察から想像するしかありません。企業などではエゴグラムの研修を一斉に受講させて、各自のエゴグラムを発表し合うという方法もあるようです。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。