DmBlogger作者、かく語りき(3)

私が、DmBloggerを作り始めたのは、2004年11月です。
ブログを始めたのが2004年3月、dm。に移したのが2004年7月です。ブログというものを面白く感じるようになり、いつでもどこでも書けるようにしたいというのが、作る始めた理由です。(目の前にZaurusがあり、Ruby/Qteがあったからということも忘れてはいけません。)
ここで重要なことは、当初のDmBlogger・・・開発初期はZBloggerという名前でした・・・は、記事を投稿するツールであり、RSSリーダーではなかったということです。

当時・・・今もそうですが・・・、コンサート会場に行くというシーンを、臨場感をそのままに、リアルタイムにブログに上げる、コンサートが終わると、そのレポートをブログに上げるということをしたかったのです。
ブログに記事を書くというのが、PCの前にいなければ出来ないということは、許し難いことです。もちろん、当時もケータイから書くというモブログは存在していました。モブログには、写真もセットという面白さはあるものの、ある程度まとまった記事が書けないという欠点があります。(慣れというのは怖いもので、今では私はケータイでもそこそこ長い記事が書けるようになりました。そのせいで、Zaurusを手放した期間もあります。)
特に臨場感が必要な記事は、家に帰ってからPCでというのは遅いのです。

その当時のdm。を読み返すと、ZBloggerは半日ほどで作ったことが示されています。
作った次の日は、後藤真希のコンサートで、群馬県の桐生まで遠出をしています。なんと、新幹線の中からZBloggerを使って、dm。に記事を書いているというくだりがあります。今、読んでも、その場面が頭の中に蘇ります。
また、コンサート終了後は、コーヒーショップやファーストフードに直行して、レポートを書くということも、よくやります。感じたことを、そのまま書くというのが、スタイルなのです。

コンサートについて書いてきましたが、臨場感が必要なのは、それだけではありません。
自分の中で起きたちょっとした着想、見たテレビ、読んだ書籍からの感想も、臨場感が必要なことです。
忘れてしまうようなことは、大事なことではないという考え方もありますが、残しておけばそれはそれで意味が生まれることもあるでしょう。
いずれにせよ、そうした臨場感のある着想や感想を残す時に、そのプロセスが煩雑であってはいけません。近くにPCがないから書けないというのは論外ですし、PCが起動してないから電源投入からというのも、いただけません。
その点、どこでも連れ出せて、起動の早い、Zaurusは魅力的です。そこそこ長い文章が書けるキーボードと画面も好印象です。
本当にじっくりと練り上げた文章が必要になる時は、さすがのZaurusでもお手上げです。テキストの入力速度は、どうしてもPCには敵いません。ハードウェア的な原因が大部分ですが、IMEにも問題はあります。PDAとしては十分かもしれませんが、ATOKどころかMS-IMEにすら敵いません。
それでも、Zaurusには、記事作成端末として、余りある魅力があります。

いくらZaurusでも、いちいちNetFrontを起動するのもダメです。そもそも、インターネットに接続するところから始めるのは論外です。それに、地下鉄の中だと接続すら出来ないかもしれません。
あとは、メールでモブログ機能を使ったり、テキストエディタで記事を書いて、後からNetFrontを起動するという方法もあります。私も、一時期はそれを試しました。しかし、ZBloggerを作って以降は、そうしたプロセスすら面倒になりました。

「本当にやりたい作業だけをやる」というプロセスデザインが重要なのです。
やりたい作業はブログに記事を書くということであり、その記事の内容を考えて、文章を作るということなのです。
どれだけ、その本当にやりたい作業にスムーズに入れるか、作業を始めたならそこに没頭出来るかがポイントです。
ZBloggerを常時起動しておけば、Zaurusの電源を入れさえすれば(もちろん、Zaurusはすぐに起動します)、本当にすぐに本当にやりたい作業を始められます。
私の中で、明らかにZBloggerは圧勝だったのです。(つづく)

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。