アテンションエコノミーについて考えてみよう。
それは、ネット上のサービスのほとんどが広告費によって賄われる世界である。
世界中にあるアテンションの総量は有限だ。有限な資源の分配は、まさに経済学の範疇となる。
この際、話を簡単にするために、ネットビジネスに流入するお金が、すべて広告費によるものだとしよう。
アテンションとは、その名のとおり人々の注目のことだ。
広告において、その人々の注目を集めることが何より重要だ。つまり、アテンションを集めるサイトに、広告が集まり、お金が集まることになる。
アテンションは、どうやれば集まるだろうか。
基本的には、ネット上での言論には自由主義が働く。つまりは、民放と変わらない。(あくまで基本的には・・・だ。ウラのこととかは知らない。)
ネット上の場合は、アテンションは、言論にすべてが集まるわけではない。
使い勝手の良いWebベースのアプリケーションにもアテンションが集まる。Ajaxに注目が集まるのは、そのためだ。
アテンションが集まらない言論(アプリケーションでも同様だ)は、ネット上に存在してはいても、アテンションエコノミーには参加していないに等しいということになる。
そうなると、アテンションはアクセス(数)に等しいと言って良いのだろうか。
少なくとも、私がここまでに考えてきた文脈では等しいと言って良い。
しかし、私自身が未だアテンションエコノミーを字面程度にしか知らないので、それが正確かの保証はない。(これから、おいおい確認しよう。)
こうなると、ITProのこの記事は、正しいということになる。
Web 2.0の経済以外の面(それは何だ?という議論もある)を考慮すると、首をかしげる部分もある。しかし、経済として見れば、Web 2.0企業=メディア企業は正しい。
Web 2.0における集合知とか、フォークソノミーも、それをデータソースとして取得した企業(例えばGoogle)にとっては、新たなアテンションを生み出したり、的確な広告を出して、広告そのものの価値を生み出す源泉となる。
つまり、アテンションそのものの増加か、単位毎のアテンションの価値を上げるために用いられるということだ。ここに書いてあるように、その企業が拡大するための燃料として用いられる。
現在、Web 2.0で挙げられる企業のほとんどは、アテンションエコノミーの申し子ということになる。今後、現れる企業も、おそらくそうだろう。
今のところ、例外はSalesforce.comしかないのではないだろうか。唯一の課金による収入を得ているWeb 2.0企業だ。
いや、もう1つ、巨大な例外があるのを忘れていた。Amazonだ。
Amazonは、広告の出稿元であり、収入は様々な商品の販売から得ている。
Amazonは押しも押されぬWeb 2.0企業だが、アテンションの集め方が巧妙なのである。アフィリエイトやWebサービスという方法で、ロングテールのアテンションを「2次的に」かっさらっている。
これは、ネット上に(ネットを媒介してか?)流入するお金が、広告費だけではないかもしれないことを示している。重要なことは、本業と密接に連携したオープンAPIの公開だ。
このビジネスは、リアルの世界(こちら側?)に、本業を持っておく必要がある。つまり、ネット企業はどこまでいってもネット企業であり、それでしかない。ネット企業=メディア企業というのも、変わらない。(Salesforce.comの位置付けが、やはり何か違うということになる。)
リアルの世界の企業は、メディア企業を除いては、あまり心配しなくても良いということかもしれない。ただ、おちおち気を抜いていると、先にWeb 2.0に乗った企業に追い抜かれるかもしれないということだけだ。
変な言い方だが、人間は、気持ちの入ったサービスを受けた時は、やはり感動するものだから、Web 2.0への対応という課題はあるにせよ、やはりリアルの世界で培った、誠実なビジネスマインドを大切にすることが、今後も重要ということではないだろうか。
さて、この記事の結論は何だろう。
「Web 2.0企業=メディア企業」は、かなり正しいということか。
単なる、私の現状認識の披露に過ぎないけれど。