企業システムにおけるWeb 2.0

Web 2.0が企業システムに適用できるか?ということは、Web 2.0がブームになればなるほど取り上げられるテーマだと思う。
はてブでも、このテーマで注目されている記事は色々あるが、アプレッソのCTOである小野さんの記事を取り上げてみる。

“企業や大学の情報システムには、コンシュマー向けのそれとは異なる様々な事情がある。
基幹システムと呼ばれるソフトウェアとの共存は想像を遥かに越えてずっしりとのしかかり、そして同時に、何があってもここだけはという安心感の拠りどころにもなりえるものだ。
だから分けて考えたくなることもあるし、そのようなアプローチは良く理解できる。
しかしそれでも、Web 2.0 をコンシュマー向けのものとわりきって考えることはやはり乱暴で、Web 2.0 と呼ばれるソフトウェアや企業が私たちに示したものはなお色あせることはないと私は思う。”

Web 2.0とは何か?という検討は、さんざんdm。でもやっていて、これ以上やるのは、若干、食傷気味。
とりあえずの私の中での結論は、「データとデータをつなぐ(ということを極める)」ということだが、それではあまりに曖昧なので、もう少し具体的には(特に)個人が持っているデータ(情報)を、結びつけることで、新たな価値を見出す…総体としては集合知と言われるし、タギングに限定すればフォークソノミーとか言われる…ということだ。

それを、企業で活用しようとすれば、社員間の情報共有であって、ナレッジマネジメントの文脈に含まれることになるのだろうか。
そう言ってしまうと、いきなり古臭く感じたり、単なる焼き直しのようにも思うが、だからダメなんていう気は、さらさらない。
Web 2.0でのやり方なら、ナレッジマネジメントのためにナレッジを作るようなことは必要なく、今そこに存在するデータをデータソースに出来るし、さらに社員が自然にナレッジを提供するような仕掛けを作ることが出来る。(タギングだけでも、フォークソノミーの観点では十分にナレッジと言えるのだから。)

さらに、ナレッジマネジメントだけに留まるでもない。イントラネット上に存在する社内システムは、いずれフィードを吐き出すようになって1つのRSSリーダーベースのポータルに集約される。
ある種類のデータソースは、インターネットからフィードとして引っ張ってこられる。

そう考えると、Web 2.0は企業システムの世界においても、十分に通用することになる。(とは言っても、情報系システムが中心になるとは思うのだが…。基幹システムはなかなか難しいのではないかと思う。ただ、小野さんによれば、そういう発想も捨てた方が良いとのことだ。)

今日、聞いたWBS2.0でのFeedpathのビジネスモデルは、まさにそんな感じなのだろう。だから、FeedpathはRSSリーダー機能から提供を始めたのだということだそうだ。

まぁ、いずれにせよ、Web 2.0と言う言葉はブームだから、使った方が効果があるとは思う。ただ、それよりも、その本質というか、コンピュータ同士はいずれつながるのが宿命だったのだろうし、そのための壁を打ち破るプロセスが、少しずつ進んでいるのだと捉えた方が、変に言葉に遊ばれることがなくて良いのかもしれない。

シメが、CNETの湯川さんの記事(「Web 2.0」の魔性に惑わされない心得)っぽくなってしまったけど。
でも、そういうことだと思う。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。