「2ちゃんねるをまともに受け取っちゃいけないな」といまさら実感した

昨日から今日にかけて、狼で祭りがあったんだけど、それをひととおり見ていて、そんなことを思った。
せっかくだから、ちょっと書き残しておく。

祭りというのは、Berryz工房の某メンバーが路上でキスをしていたという動画と画像が出回って、しかもそのメンバーが今日、ソロイベントをやるってもんだから、やれイベントは中止だろうとか強行するだろうとか、中止だったらそのまま卒業だなとか、今日のイベントのために昨日の夜から高速バスで遠征してくるオタは気付いて涙目だな…とか、まぁそういうことだ。(だいたい動画というのが時代を感じるし、衝撃的だ。)
で、イベントは結局ふつうに実行されたし、これといったトラブルもなく終わったらしい。

ハロプロでは今までにもその手の話はいくつもあって、卒業や所属グループの脱退に至ったケースもある。で、そのケースは発覚直後というケースは少なくて、だいたい1週間くらいしてから突然「学業優先のため」とかいう理由で卒業したり、「年少メンバーに示しがつかない」とグループを脱退することになる。だから、今回のケースでもそのメンバーのオタは1週間くらいは不安な日々を送ることになるだろう。

話の経緯はそれくらいにして、私自身としては、初めて2ちゃんの祭りというものを、マジマジと見た。
印象的だったのは、動画や画像が出回ってから、今日のイベント(2回公演)の1回目が終わるまでのムードと、その後のムードが一変したことだ。
とにかく最初のムードは、動画や画像は本人で決定であり、あとはどういう処遇になるかという「事実確認終了、量刑裁量モード」だった。マジオタはさておき、書き込みの大半を占めると思われる「祭りを楽しみたい派」は、死刑判決(卒業発表)を今か今かとワクワクしながら待っていた。
これでイベント中止にでもなったら、イコール死刑で祭りはクライマックスを迎えたことだろう。
しかし、イベント中止の報はいつまでも出ない。ムードは徐々にイベントを見に行くオタが何か大それた事件を起こさないか…という期待に変わっていく。
冷静に見れば、まったくもって不謹慎な期待である。これが祭りというものの怖さかもしれない。
イベントが無事に終わった後は、「あれは捏造だったんだ、アンチ涙目モード」に。イベントが中止にならなかったり、卒業発表に至らないからといって、イコール捏造で片付けるのも少々おめでたい気がするが、気持ちは非常によく分かる。

今回発覚したのは、(仮に動画等が本人だとして)キスしてたというだけであって、アイドルとしては致命的だが、社会的に糾弾される種類のものではまったくない。一部では飲酒疑惑もあったが、足元がよろついていたというだけで、さすがに、それは飛躍し過ぎだろう。

しかし、ここで2ちゃんが怖いと思うのは、イベント終了前のムードだけを見ていたら、ひどい誤解を生むことになりかねないということだ。
ある程度2ちゃんに慣れた人だったり、ネットリテラシーがきちんと備わっていたりして、自分がある程度知っている領域のネタだったりすれば、そんなことにはならない。
しかし、自分が知らない領域のネタだったり、ある程度知っていても精神状態が万全でなく、ネットリテラシーによるフィルタリングが効かなかったりすると、なかなか危険だ。

2ちゃんで繰り広げられている会話というのは、便所の落書きだという人もいるが、そういうのとはちょっと違って、バイトの休憩室というか、若手社員の飲み会というか、そういうノリのように思う。
その世界のことをちょっと知っている人たちの会話なのだ。その世界のことが、ちゃんと見え切っているわけではない。ただ、直近の出来事とかリアルなムードを知っている人たちではある。
その程度かもしれないけれど、その世界のことを知らない人とは一味違うのは間違いない。だから、ぜんぜん知らない人から見れば、「2ちゃんに書いてあることはリアルだ!」と勘違いしても仕方ないかもしれない。

まぁ、そんなことを思ったのだ。そういう勘違いをしない程度のネットリテラシーを身に付けることと、物事を正視できる精神状態でいること。それが重要なことだと思う。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。