個人事務所な会社名に変える理由

先般よりお知らせしているとおり、アルティザンエッジ合同会社という商号を合同会社井上研一事務所に変えます。

アルティザンエッジという名前は法人化する前の2012年から使っていて、既に5年近く経っているのに、このタイミングでなぜ商号を変えるのでしょうか。しかも、合同会社井上研一事務所なんていう、いかにも個人事務所だなって名前に。

比較するのは気が引けますが、株式会社東京糸井重里事務所は株式会社ほぼ日に商号を変えました。こういう事例は多いと思うのです。最初は個人事務所だったけど、事業がいろいろできてきて、事業名をそのまま会社の商号にするパターン。
私の場合は、完全にその逆なんですね。

ずっとあった引っかかり

アルティザンエッジという名前を思いついた2012年、法人成りして会社名になった2013年。いつか会社を作りたいとは思っていたものの、会社としてやりたい事業のイメージは実はなかったといっても良いと思います。会社というのは何かやりたいことで共感している人たちが集まって、みんなで事業をやるというイメージ。特に会社立ち上げ時はそうだと思います。でも、私は1人で創業したし法人化も1人。(だから、法人化というより法人成り。)そういう事業イメージじゃなかったんだと思います。

では、私がやりたかったのは何か。私は子供の頃から個人事務所みたいなものに憧れがありました。だから、コンピュータがずっと好きでやっていながら、一方で法律の勉強とかしていました。司法書士とか行政書士とかいう士業。あれになれば個人事務所が持てるな。なんか知的なことをやっていて1人であちこちに出かけていったりして、颯爽と仕事しているイメージ。

ずっとそういう仕事がしたいなと思っていたのです。だから、2006年くらいにSIerでのキャリアに悩んでいたときに、「いつかソフトウェアの設計事務所で独立する人が現れるかも」なんていう某雑誌の記事に非常に感銘したりもしたのです。

それで、2015年に取得したのがITコーディネータという資格。いちおう士業なのかもしれない。それまで積み上げてきたITの経験も活用できるし、やっぱりコンピュータは好きだし、一方でスーパーエンジニアになりたいわけでもなくて、中小企業診断士の勉強とか、30代になって大学に行って経営の勉強をしていた私はそういう方向にも興味があるし、そのちょうど真ん中にある資格だなと思って、うまいところに落ち着けるかもと思ったのです。

そんな感じなので、アルティザンエッジといういかにも会社、いかにもみんなで事業してそうな会社名と、自分の思いとのギャップみたいなものに、ずっと引っかかっていたのです。当然、いつ社員雇うの?というのはずっと言われてたし。そうじゃないんだけどなぁ・・・みたいな思いを感じながら。

ITコーディネータとして、まだ上手く行っているというわけではないけれど(上手く行き始めたとは思っているけど)、本を出したことなどをきっかけとして、ByNameでの声がかかるようになってきました(ありがとうございます!)。また、中野に拠点を移してからは特に色々な人とのつながりも増えてきました(ありがとうございます!!)。

だから、やるなら今だなと思いました。私にとっての第2創業期はここだなと。ふつう、第2創業期は会社をより大きくするためだけど、私の場合はその逆かもしれないけど。

これからどうするのか

そう、第2創業期なのに会社を大きくしないのか?という話です。私はむしろ大きくするんだと思っています。ただ、大きくするのは「合同会社井上研一事務所」ではなくて、もっと広い話として。

先月、「下町サミット in 世田谷」に参加したのですが、そこで基調講演をされた多喜義彦さんから「これからの社会は1社でできることなんてない」というお話しがありました。まさにそうだと思うのです。「合同会社井上研一事務所」が1社ですべてをやる必要はない。それよりは、人と人のつながり、会社と会社のつながりをしっかり作って、その中で仕事をやっていくという形を作りたいと思うのです。その中でできればキーパーソンになれる人でありたい。

そう考えた上で、今後の可能性として3つのことを挙げておこうと思います。

1つ目。そうしたつながりの中で一つのビジネスが成り立つなら、コンソーシアム的なものは作るかもしれない。

2つ目。そうしたつながりが盛り上がって、人の心もちゃんと固まったなら、事務所とは別に会社を立ち上げることはあるかもしれない。

3つ目。10年くらいそういう活動をして、一角の成果ができたなら、後進の育成という観点で若者を雇用することはあるかもしれない。それは、事務所を大きくする意味ではなく、ちゃんと成長したなら自分の事務所を作って独立するんだという前提で。

そんな風に思っています。

というわけで・・・

2017年4月1日より、アルティザンエッジ合同会社は合同会社井上研一事務所に商号を変更します。

今後とも、よろしくお願いします!

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。