「やりたい仕事」というもの

先日、メロン記念日主演(三好絵梨香出演)の舞台「かば2」を見に行った。
そこには、英ちゃんと呼ばれる町村英二という出演者がいて、まぁ、結構ちゃらんぽらんな男なのだが、メロン記念日の斉藤瞳演ずる菅原弥生と同棲してたりする。

英ちゃんは音響の仕事をたまにやっていて、好きな仕事だがあまり収入につながらない。弥生のお腹には英ちゃんとの子供がいるのだが、「英ちゃんとは結婚しない」と言い張っている。その理由は、自分と結婚することで、英ちゃんがやりたい音響の仕事を辞めて、やりたくない仕事をやって生活を支えるようになるのが嫌だからだという。

これを聞いて、近くに住む親戚の京子おばさんはことあるごとに「好きだけじゃ生きていけない」と説教するのだが、弥生は聞く耳を持たない。
最後はドタバタあって英ちゃんと弥生は結婚することになり、京子おばさんの言うことが正解って感じになる。
さて、これを観た私は、どう思ったか。

いや、もう少し別の話を持ち出そう。
次に出てくるのは私の友人で、つい最近結婚したばかりなのだが、私と「やりたい仕事が云々」と話した後で、「井上君も、結婚すると考えが変わるかもね」と言った。

もう一つ、私が社会人になったばかりの頃の上司で、今は会社を作って社長をやっている人がいる。その人が言ったのが、「迷ったら自分のいちばん大切な人のことを考えると良い。俺の場合は妻と子供だ。井上君は独身だから、親のことを考えると良い」と言った。

両親は、私が中学生のときに離婚していて、私は母方についたから、親というとまずは母のことになるのだが、今年還暦を迎えて、一人九州に住んでいる。周りに親戚が多いから良いのだが、体も若干ボロが出始めていて、仕事も特に何か手に職があるという人ではないから、仕送りが欠かせなくなりつつある。

さて、そんなわけで、京子おばさん全盛の話の展開になってきた。
たしかに、自分も結婚すれば考え方が変わるかもなという気がしないでもない。(ま、相手がいないだけで…。)
前の上司が言ったことも、至言だと思う。

ただ、私自身としては、もう少し「やりたい仕事」というものに真正面から向き合いたいと思っている。
とはいえ、その友人にせよ、前の上司にせよ、一介の派遣SEに過ぎない私と比べれば、充実した仕事生活を送っているのではないかと思うのだが…。(暗くなっても仕方ないな。)

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。