富士通が米国の情報処理サービス会社からITアウトソーシング(ITO)を受注しました。10年間で400億円の契約。ITサービス事業の売上高で世界4位の富士通ですが、米国では初の受注となります。(今日の日経より)
富士通が米国でのITO事業の足場を築いたことは、今後の同社の成長戦略を描く上で重要なポイントになります。
ITO事業は期間での契約であり、システム構築事業と比べると、受注さえ出来れば安定した収益源になる特性があります。設備や人材の規模と売上高が比例する傾向のある事業とも言えます。現時点でも、IT企業においてITO事業は金のなる木で、他の事業に投資する際の資金源となっていますが、その傾向は今後も強まると思われます。
富士通が受注したデータセンターは、まだ6割強しか使用されていないため、今後の売上増への余力があるのも魅力的な案件です。
私は、ITのインフラ化は今後ますます進むと思っています。いまでいう電気やガスのようなライフラインに近い存在になっていくでしょう。それだけに、ITをきちんと運営できる会社の重要性は高いのです。
気になるのは、クラウドコンピューティングが普及した場合のことです。クラウドを運営する会社の重要性は非常に高いのですが、ITO事業のパイをクラウドを運営する会社がすべて奪ってしまうのではないか?という危惧があります。
ただ、ITO事業はただシステムを維持管理するだけの事業というわけではありません。付加価値の高いサービスを提供できるITO事業者はクラウド全盛になった後も、生き残るでしょう。