関係をつくる。それが最後に残るスキル

岡田斗司夫さんと小飼弾さんの対談本「未来改造のススメ」を読みました。岡田さんの本はレコーディングダイエットしか読んだことがないので分からないのですが、小飼弾さんの方は何冊か読んでいて、特に弾言での主張と同じことを言っているなと思いました。この本を読むと岡田さんもおおむね同じことを言っていて、結構ぶっとんだ内容ながら、単なる冗談ではないのかもなぁと思った次第。

今の日本は豊かである。3人働けば20人くらい食える生産性である。だから、食えない羽目に陥ることはまずないという前提があって、ベーシックインカムを導入すべきという議論へ。ベーシックインカムがあるから働かなくてもなんとか慎ましくはやっていける。一人いくらで支給するので、何人かで住めばかなりの世帯収入になる。ただ、だからといって誰も働かなくなることはないだろう。なぜなら、社会に出ないと出会いもないから、結婚も出来ないし何人かで住もうと言うこともできない。それに贅沢したい人は働かないと贅沢できない。だから、働く人は働くだろう。

岡田さんや小飼さんはすぐには無理だとしても、四半世紀か半世紀くらいしたら、そうなるんじゃないかと予想しています。では、それまでの間はどうすればよいかと言うと、たかれる人にうまくたかろうとのことです。なんだかphaさんの影がちらつきます。実際、この対談の中で名前は出ているわけですが。

もし、このような社会ができたとしたら、そうでなくても上手くたかれる人が評価されるような風潮が出てきたとしたら、重要になるのはコミュ力というしかありません。ベーシックインカムの社会では仕事の価値からお金という要素はかなり少なくなっています。それよりも、出会いとか体験の価値が大きくなっています。人と話をしたりとか、体を動かすことだとか、そういう人間の根本的なところがクローズアップされるわけです。そうした社会では、人と話をするのがうまい人、人に何かの体験をさせてあげられる人が圧倒的な評価をされるようになるでしょう。こうした能力は、今の言葉で言えばコミュ力ではないですか。道理で、とってもコミュ力のあるニートであるphaさんが注目を浴びたりするわけです。

そうした社会が本当に来るのかは分かりません。ただひとつ言えることは、どうやって人と関係を築いていこうか、人との関係を維持していこうかという、人間としての根本的スキルの重要性が日増しに高まっていくだろうということです。こうしたスキルの人による高低差は非常に大きいのですが、そのスキルが低いなぁと思っている人は、日々少しでも何かを身に付け、成長していくしかないでしょう。私を含めて。

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この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。