IBM BlueHub インキュベーション・プログラム(第3期)DemoDayに行ってきました

ちょうど1週間前、3月15日に新丸ビルでIBM BlueHub インキュベーション・プログラムのDemoDayが行われました。

インキュベーションは第1期がビッグデータ、第2期がIoTときて、第3期はWatson。ちょうど10月にWatsonの書籍を出したり、IBMさんとのご縁があって箱崎事業所でイベントをさせていただいたりという中、インキュベーションのメンターを拝命した次第です。

12月のメンター就任ということもあり、充分な活動はできなかったかもしれませんが、私のメンタリング以降、Watsonの使い方が具体的に見えてきたというお話しもいただいたので、少しは役に立ったのではないかと思います。

12月というとメンタリング期間のちょうど真ん中ですね。中間報告#1の後でのメンター就任でした。

でも、1月くらいにメンタリングした企業が、2月の中間報告#2では早速成果を出していたりしたので、ベンチャーのパワーは凄いなと感じました。

いちおう、私もメンター陣の中に加わっております・・・。

BESPOKE

最初に登壇したのはBESPOKE。訪日観光客などに向けてチャットBotサービスです。会場で若干の機材トラブルがあったのは残念でしたが、それを乗り切る堂々としたプレゼンテーションでした。

技術的にかなり強いということで、自然言語系の技術はスクラッチ開発とのこと。既に企業への導入も行われているようです。

Standing Ovation

次はPR TIMES賞を受賞したStanding Ovation。XZ(クローゼット)という女性向けのファッションアプリを開発しています。クローゼットの中にしまい込まれた1軍とはいえない服やアクセサリーなどを使ったコーディネートをコミュニティで行うというもの。既に多くのユーザーを抱えており、さらに大手出版社との提携も決まっているといいます。

私がメンタリングを行った企業の1つで、XZというサービスの特性上、Watson APIの何が使えるかについて検討しました。もともとUI/UXの向上をWatsonでやりたいという考えがあり、DemoDayではアプリへのアイテム登録時にVisual Recognitionでニットとカーディガンを見分けるといった使い方になりました。

アンター

最優秀賞とソフトバンク賞のW受賞となったアンター。社長の中山さんは整形外科医ということで白衣で登場。今回の5社の中では唯一ゼロからのスタートですが、今回のインキュベーションを通してサービスが成長してきています。そのサービスは、医師どうしのQ&Aのチャット。そこにWatsonを用いた医薬品情報の提供が組み合わさります。

中山さんの熱のこもったプレゼンテーションの中にもありましたが、医師だから医療のことを何でも知っているかというとそうではない。医師だってGoogleで検索している。そこにアンターのサービスが入ることによって、救命救急のあとの治療を多くの医師に相談できることに意味があるとのこと。

こちらもメンタリングさせていただいた企業ですが、もともと医薬品における添付文書のようなきちんとした文書が揃っている領域はWatsonは得意分野。Natural Language Classifier(NLC)とRetrieve and Rank(R&R)という自然言語系の2つのAPIの組み合わせはWatsonの王道パターンといっても良いでしょう。

ミーニュー

なぜかこのスライドですいません。ミーニューの三宅さんはエプロン姿。料理の作り方に特化し、膨大なレシピの中から自分で献立を作り上げなければならならいクックパッドとは違い、ミーニューは自動で献立を作ってくれるところに価値があります。

もともと献立自動作成アプリを作っていたところに、Watsonが加わることでどう進化できるか?というが今回の目的。こちらもメンタリングさせていただきましたが、Personality InsightsやTradeoff Analyticsを活用してユーザーの趣味・趣向をもっと理解していこうという方向になりました。

さらに、私の地元・北九州市の企業をご紹介したことから新たなサービスが生まれ、DemoDayの最後に発表されました。素晴らしい!!

ナーブ

最後はナーブ。こちらはソフトバンク賞を受賞されました。VR(Virtual Reality)を用いたサービスを展開しており、既に大手不動産会社などでVR内見が採用されるなど、ビジネス的にも軌道に乗っているようです。

今後は、Watsonの自然言語系のAPIを活用することでユーザーとの対話によって、VRコンテンツを切り替えるといった展開を考えているとのこと。

ということで・・・

約3ヶ月と短い間でしたがメンターを務めることで、私自身にも色々と刺激になりました。Watson APIでできることはアイディア次第でいくらでも広がっていくでしょうし、もちろんそれ以外のAIやさまざまな技術と組み合わせることで実際の効果は出てくると思います。

こうした活動を続けていくことによって、さらに斬新なビジネスアイディアも出てくるでしょう。微力ながら、私もご支援していきたいところです!

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。