中小企業のIoT導入におけるIBM Bluemix+DSXの可能性

第4次産業革命のかけ声とともにIoTやAIの導入を検討する企業が増えているのではないかと思います。
しかし、IoTやAIは大企業かベンチャーだけのもの・・・と思っている中小企業の方も多いかもしれません。

そもそもIoTやAIを使って何をやるのかという問題もありますが、一方でどうせもの凄い投資額が必要になるだろう・・・とか、そうした高度なITスキルを持った人材がいない・・・と二の足を踏んで、そもそも検討すらしないということもあるのではないでしょうか。

IoT+AI関連では、主要なベンダーは限られています。Amazon、Microsoft、IBM、そしてGoogle(はIoTの足回りはあまり積極的ではないようですが・・・)といったところでしょう。(もちろん、国産ベンダーも含めほかにもたくさんあります。)
そうしたベンダーのサービスを検討する中で、IBMのBluemixとDSX(Data Science Experience)の組み合わせは面白い存在になるような気がします。

(と、なんだかIBMからお金を貰ったような出だしですが、決してそんなことはありません。念のため。)

Bluemix+DSXはかなり無料で使える

いきなり無料だ、無料だというのは気が引けますが、特に中小企業経営者が最も気にするのがこの点でありましょうし、私のような一人企業にとってはなおさら重要なことです。少なくとも、無料なら気軽に試せるということがありますし、Bluemix+DSXの無料枠はなかなか大きめで、中小企業の一部は無料枠の範疇でかなりのことができるのではないかと思うのです。

Iot system

この記事で検討しているのは、このようなシステムです。店舗・工場等にあるデバイスからデータをIoTサーバにアップロードし、まず見える化環境で稼働状況などを見える化する。データはさらにデータレイクに蓄積し、そのビッグデータを分析環境で分析しようというものです。IoTシステムとして一般的に考えるべき要素はひととおり入っていると思います。(あと必要なのは、デバイスとIoTサーバの間に設置されるゲートウェイくらいでしょうか。)

これだけの環境が、Bluemix+DSXなら無料で作れてしまう可能性があるのです。

デバイスやネット接続は自社で準備しなければなりませんが、IoTサーバと見える化環境に相当するのがBluemixのWatson IoT Platform、データレイクはCloudant、分析環境はDSXが当てはまります。これらのサービスの無料枠がどの程度のものか見てみましょう。(2017年3月28日現在)

Watson IoT Platform

Liteプランは最大500台のデバイスと、それぞれのデバイスが月間200MBまでのデータ交換が無料です。
500台まで登録できれば充分という企業は多いでしょうし、送信するデータはセンサーデータなので月間200MBあればある程度は行けるのではないでしょうか。
※Bluemixのカタログでは単にInternet of Things Platformという名前になっています。

Cloudant

Liteプランは1GBまでのストレージが無料です。500台のデバイスが月間200MBのデータを送信すると月間100GBになってしまうわけで無料にはおさまりません・・・。Standardプランでは1GBあたり105円なので、月間で約1万円。さらに読み書きにコストがかかりますが無料枠があります(ストレージにも20GBの無料枠があります)。

Cloudantをデータレイクとして使うとなると、蓄積するデータはどんどん増えていくので、毎月コストが増加することになります。コスト面では最も気になるところでしょう。

Data Science Experience (DSX)

DSX環境を作ると、自動的にBluemix上でApache SparkのPersonal-Freeプランが適用されるようです。Apache SparkのPersonal-Freeプランは無料なのですが、DSXのサイトでの説明は30日間は無料という書き方なので、齟齬が気になります・・・。ただ、分析対象のデータはCloudantに置いてあるのでDSX側では課金されません。あとはApache Sparkの課金なのですが、DSXの説明では0.7ドル/インスタンス時間です。

Watson IoT Platformでの見える化

ということで、ちょっと気になる点はあるわけですが、少なくとも見える化までならWatson IoT Platformだけでできるわけで、それなら500台までは無料で使えます。

IBM Watson IoT Platform

このような見える化は、デバイス側でWatson IoT Platformにデータを送信する仕組みさえプログラミングしておけば、サーバ(クラウド)側では設定だけでできてしまいます。プログラミングは不要です。

さらにCloudantとのデータ連携も設定だけでできてしまうため、導入はかなり容易だといえるでしょう。

DSXではJupyter Notebooksで分析

DSXではデータサイエンス環境としてお馴染みのJupyter Notebooksを使用することができます。
Pythonの持つ豊富なデータサイエンス向けライブラリを活用し、分析することが可能です。

まとめ(次回以降の予告)

今回の記事ではBluemixとDSXで作るIoTシステムの概要を述べました。
IoTシステムにおいてはまず見える化が重要です。Watson IoT Platformを用いると、少なくともクラウド側はノンプログラミングで、500台までのデバイスなら無料で、見える化することができます。その上、さらにデータ蓄積や分析といった環境との連携も容易です。もちろんWatsonとの連携によるコグニティブシステムも検討の範疇に入ってきます。中小企業がIoTを導入する際のファーストステップとして、使えるサービスの一つということはできるでしょう。

また、今回の記事では触れませんでしたが、BluemixやDSXは多くの機能がオープンソースを用いており、ベンダーロックインが発生しづらいという魅力もあります。

次回以降の記事で、具体的な作り方などを解説していきたいと思います。

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