私にとって5冊目の著書となる「使ってわかったAWSのAI」が5月26日に発売となります。既にAmazonでの予約が始まっています。
今回の書籍は、企画自体は2017年に出した「ワトソンで体感する人工知能」の後からありました。実際、少し執筆も始めていたのですが、2016年に出した「初めてのWatson」をIBM Cloud(当時のBluemix)の仕様変更などに合わせて改訂版を出す必要に迫られたり、他の本の執筆が入ったり…と、遅れ遅れに。
ようやく、本腰を入れて執筆を始めると、一つの核としていたAmazon Machine Learningの先行きが怪しくなり、変わってSageMakerが登場するなど、いつの情報を、いつ出せばよいのか…に悩む執筆活動となりました。
もしかすると、WatsonやAWSといったクラウドサービスの情報は、書籍というメディアではなく、ブログや随時改訂する電子書籍といった形でまとめた方が望ましいのかもしれません。しかし、ブログでは1人の著者がすべてのサービスを俯瞰して書くということが難しく、ある程度知識のある人がさらに情報を求めるときには良くても、初学者がひとまず全体を触ってみようというときには、やはり書籍という形も必要だろうと思います。
さらに、書籍というのは著者ひとりの力でできるものではありません。企画者、編集者、デザイナーなどさまざまな方の力があって、はじめて出来上がるものです。さらに紙の本では、印刷をして、書店に営業して、運んで、並べて…という力も必要です。
ブログをはじめとするセルフパブリッシングでは、企画や視点が独りよがりになりがちです。「こういうことを知りたいだろう」ではなく、「こういうことを伝えたい」。「こういう説明をしてほしい」ではなく、「自分が分からないから調べてみた」。どうしても、読者側ではなく、執筆している側の前提条件がそのまま読者に押し付けられることになりやすいといえます。
今回の本にしても、私の手元から最初の原稿が出ていったときには、そうしたブログと大差ないものになっているかもしれません。しかし、編集者の方から「その説明では分からない」、「読者が知りたいのはそれではない」というツッコミが入り、さらに文章自体が読みやすく加工されて私の手元に返ってきます。それを、さらにあーでもない、こーでもないと試行錯誤して書き直し、追記し、さらにAWSの画面が変わった、操作方法が変わったといっては書き直し、追記し、場合によってはせっかく書き上げた原稿を捨て…ということが繰り返されます。
たしかに、ブログのような書いては出し、変わっては書き直して出し…ということができないのが紙の本の宿命ですが、その分、読みやすく、分かりやすく編集された後に世の中に出ているということは間違いありません。
今回の書籍は、私自身がAWSのAIの初学者として、サービスの全体を把握するために試行錯誤したことを、皆さんに追体験してもらうためのものになっていると思います。もちろん、試行錯誤の苦しい部分はできるだけ除去したものになっているはずです。リファレンスや教科書ではありません。あくまでツアーガイドだと思います。
私は研修講師のお仕事もたびたびやっていますが、その際に重視しているのは「体感してもらう」、「自分ごとにしてもらう」ということです。実際に、自分で触ってみないと分からないことは多いのです。クラウドサービスはその最たるものでしょう。だから、この本も斜め読みにするのではなく、まずは書いてあるとおりに触ってみて欲しいと思います。
書籍が出るまでは、まだ1か月弱ありますが、書籍に掲載したコードのリストだけは先にこちらで公開しました。書籍を購入する前に、こういうことをAWSのAIを使ってやるんだな…ということが分かると思いますので、ぜひご参考にしてください。