先週のことになりますが、12月17日にリーガロイヤルホテル小倉で行われた、北九州市DX推進プラットフォームのキックオフ会議に参加しました。
北九州市の北橋市長、九州経済産業局の佐藤地域経済部長の挨拶の後、南山大学の教授で政府のDX推進に関する会議で座長を務める青山氏、さらにDX導入を進めるiSmart Technologiesの木村氏の講演がありました。
事業再構築促進事業
九州経済産業局の佐藤氏からは、事業再構築促進事業の説明などがありました。
令和2年度第3次補正予算の可決が前提となりますが、申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等に対し、通常枠で補助額100〜6,000万円、補助率2/3の補助金が出るというものです。「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す」という、まさにDXに活用しやすい補助金であるといえます。
DX推進の動向と事例
南山大学の青山教授からは、DX推進の動向と、特に中小企業(製造業)の事例紹介がありました。
経済産業省が取りまとめたDX推進指標の説明では、自己評価を行った企業の平均値が1.4であったこと、3.5まで到達している企業が19社あったことなどが紹介されました。DX推進指標の自己評価フォーマットがIPAのサイトで公開されているため、DXに取り組もうとされる企業は、まずは自己評価を行って自社の現状を把握すると良いでしょう。
また、製造業のDXは、製品DX×製造DX×ビジネスモデルDXという3つのDXの掛け合わせが必要であることや、事例として、HILLTOP、AeroEdge、早和果樹園(農業は経験によるところが大きいが、個人の経験から脱することに成功)、ゑびや大食堂(2018年にEBILABを設立)の4社が紹介されました。
さらに、DXに取り組むための戦略として、下記の3つの取り組みが必要とのこと。さらに、私のメモに書き留めたことをご紹介しておきます。
組織戦略 三位一体 経営者、業務部門(事業部門が勉強しないといけない)、IT部門
事業戦略 住民/顧客起点の課題解決、価値創出と業務起点の生産性向上
展開戦略 アジャイルDXとアジャイル開発データ駆動価値創出 データを活用したDX推進プロセス
全社員のDX人材化 業務フロー分析、デザイン思考、アジャイル開発、
デジタル技術を活用できるプラットフォームの構築(AI、IoT、クラウド、エッジ)プラットフォームの力
つながりが掛け算となり、双方向に価値を生む
多様な参画者による新しい価値連鎖の創出
企業間競争からプラットフォーム間競争へ
DXに取り組む企業は、特定の人材(例えばIT部門)だけがDXだと躍起になってもダメで、企業が取り組むビジネスそのものをデジタル化する必要があるため、全社のDX人材化が必要です。こうしたことは、私自身も時折、DXに関するセミナーやパネルディスカッションに登壇させていただくことがありますが、その際に強調していることにも通じます。
プラットフォームの力については、たしかにそのとおりだと思うのですが、私の知識がまだ足りないところがあるので、今回を機にさらに勉強します。
DX導入事例
続いて登壇された木村氏は、iSmart Technologiesおよび旭鉄工の社長であり、その取り組みについては、私も数年前、ITコーディネータ協会として経済産業省の事業を受託した際に、ワークグループメンバーとして直接取材させていただいたことがあります。
製造業のIoTでは、生産個数、停止、サイクルタイムの3つを自動測定するのが必須。これは、iSmart Technologiesのサービスを使えばすぐに取得できる。そのデータを活用してカイゼンを行い、人間はより付加価値の高い作業に専念できるようにするのが基本的な考え方であるとのこと。
既にサービスとして提供されているものがある分野では、車輪の再発明はせずに、ありものを使うべきである・・・というのは、おっしゃるとおりだと思いました。
北九州市DX推進プラットフォームについて
最後に、北九州市DX推進プラットフォームについて説明がありました。まずは、Webサイトが立ち上がっており、そこで「DXの推進を希望する企業」と「DXの推進をサポートする企業」の登録申請を受け付け、マッチングなどが行われるとのこと。
弊社としても早速、DXの推進をサポートする企業として登録申請を行いました。今後どのような形で進んでいくのか、期待したいと思います。