Galaxy Z Fold 5でUbuntuを使えるようにする

Samsungの折りたたみ型スマートフォンの最新版であるGalaxy Z Fold 5を使い始めました。以前、Z Fold 3は使っていたことがあるので、1年ちょっとぶりということになります。(Z Fold 4はスキップした。)

折りたたみスマートフォンの最大の特徴は、折りたためばスマートフォン、広げればタブレットになるということで、Galaxy Z Fold 5(3以降)ではSペンも使えるので、メモ書き用に使ったり、本を読んだりと活用しています。

そして、これはAndroidならではであって、折りたたみだからという話ではないのですが、ちょっとした開発マシンとして使うことができるというメリットがあります。Termuxというアプリを入れるとLinux環境が使えるようになり、さらに追加のインストールを行うことで、Ubuntuをだいたい使えるようにもなります。(PCで動作させるUbuntuと完全にイコールというわけではありません。Android上で仮想マシンを動かすという話でもありません。)

Ubuntuが動くようになるまでの操作手順を、整理しておきます。

F-Droidをインストール

まずはTermuxのインストールです。Playストアにもあるようですが、F-droid版のインストールがおすすめなようです。そこで、まずは、F-droidをインストールします。

こちらのサイトからapkファイルをダウンロードして、インストールします。
(この辺の芸当がApple製品では絶対できないことですね。)

F-Droidを使ってTermuxをインストール

F-droidのインストールができたら、次にTermuxをインストールします。
F-droidの画面でTermuxを検索すると、アドオンを含めていくつか出てくるので、少なくともTermuxの本体をインストールします。その他のアドオンは必要に応じてで良いでしょう。

Termux環境からAndroid環境のファイルにアクセスできるようにする

インストールしたTermuxを起動すると、まずはTermux環境でのコンソールが開きます。
デフォルトでは、Termux環境からAndroid側のファイルを操作することができません。
不便なので、下記のコマンドを実行して操作可能にします。(このコマンドは一度実行するだけ構いません。)

termux-setup-storage

実行すると、Androidのパーミッションのダイアログが表示されるので、許可します。
~/storageが作成され、そこにdcimやdownloadsといったAndroid側のディレクトリへのシンボリックリンクがあります。

Termuxの環境でパッケージをアップデート

Termux環境では、pkgコマンドを使ってパッケージの操作ができます。
まずは、Termux環境でのパッケージをアップデートしておきましょう。

pkg update

pkg updateだけでパッケージが更新されるので、pkg upgradeは特に不要のようです。

PRootとproot-distroをインストール

次に、Termux環境上にUbuntuをインストールします。
いろいろと方法があるようですが、ここではPRootと、PRoot公式のUbuntuディストリビューションを使うことにしましょう。

まずは、PRootと、各ディストリビューションのインストールなどの操作ができるproot-distroをインストールします。

pkg install proot proot-distro

インストールが終わったら、proot-distroを使ってUbuntuを導入します。

proot-distro install ubuntu

下記のコマンドでUbuntuにログインできます。
環境構築がだいたいできたら、Termux側の.bashrcあたりに下記のコマンドを書いて、Termuxを起動したら自動実行するようにしたら良いでしょう。

proot-distro login ubuntu

Ubuntu環境では、下記のディレクトリからAndroid側のファイルにアクセスできます。
proot-distro login --helpでマニュアルを見てみると、--isolatedを指定しない限り、自動的にアクセスできる状態になっているようです。

  • /data/dalvik-cache
  • /data/data/com.termux
  • /sdcard
  • /storage
  • /system
  • /vendor

Ubuntuのパッケージを更新

導入したUbuntu環境でパッケージを更新します。
ここから先は、通常のUbuntuでのノウハウが「だいたい」使えます。(完全にイコールではないので注意)

Ubuntu環境では仮想的にrootになっているので、sudoなどは不要です。(Androidでのrootを取っているわけではない。)

apt update
apt upgrade

日本語化など

表示言語の日本語化と、タイムゾーンのJST化を行います。

apt install language-pack-ja manpages-ja manpages-ja-dev
update-locale LANG=ja_JP.UTF-8

ここで一旦、exitでTermux環境に下りて、再びUbuntu環境にログインすると、表示言語が日本語になっているでしょう。

apt install tzdata

タイムゾーンのJST化は、tzdataのインストールだけでOK。インストール中にタイムゾーンを指定する画面になるので、そこで、Asia→Tokyoと選択します。

これでひとまず、Android上でUbuntuが使えるようになりました。

Galaxy Z Fold 5であれば、外付けキーボードを使って大きな画面でUbuntuの操作ができるし、Galaxyは外付けディスプレイに接続すればPCライクに操作できるDeXという環境もあるので、かなり本気で作業することも可能です。

今後も、Galaxy Z Fold 5ネタはいろいろ書いていけたらと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。