携帯電話のGPS機能によるマーケティング

ソフトバンクが携帯電話のGPS機能を使って分単位で人の居場所を認識し、それに沿ったエリア情報の提供や、災害時に避難情報を流すなどの実験を始めるとのこと。

今まで、携帯電話の基地局情報から情報提供するサービスはあったように思いますが、GPSとなると精度は段違いで、さらにきめ細かい情報が提供できそう。ただ、ユーザーの行動履歴を把握することから、プライバシー問題も出てきます。

企業のマーケティング活動は、市場をセグメント分けしないマスマーケティングから、市場をセグメント分けして、その特定セグメントに向けた活動を行うターゲットマーケティングに進化しました。最近のトレンドは、セグメントの分け方を、性別や年齢といった表面的な特徴による方法から、ネット上での活動履歴などその人のパーソナリティに踏み込んだ方法(サイコグラフィック)に進んでいること。

ネット上での活動履歴は、Cookieを使うことで比較的簡単に取得できますが、携帯電話のGPSを使えばリアルの活動履歴も取得できるようになります。しかし、それを実際にマーケティングに使うとなると、上記のようなプライバシーの問題がネット上の活動履歴よりさらに問題になるという他に、GPS情報を取得できるのが携帯電話キャリアに限られるのではないか?という点も気になります。

活動履歴を取得できる企業が広がるほど利便性は上がるけれども、それだけプライバシーが脅かされるという背反した問題となるので、このソフトバンクの実験後の動きに注目です。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。