SIerのMOT

SIerは「受託開発」という言葉に象徴されるように、「何かを作って売りに出る」というより「何かを求められて作る」ビジネスです。
新製品を開発するためというような直接的な技術開発は必要なく、何かを求められたときに対応できる技術開発、さらにいえば人材育成が出来れば良いということになります。

このようなスタンスである以上、SIerは受託開発もしくは人材派遣しかできないわけです。人材育成も出来ていなければ、孫請けから人を買って幾分かの利益を乗せて派遣するという差配師的商売になるのは、非常に多いケースでしょう。薄い利幅を数で稼ぐような商売になり、SIerなんだか人材派遣会社なんだか区別がつかないような状態になります。

これをどう見るかは、会社の事業コンセプト次第です。人材派遣が悪いというわけではなく、専業の会社でSIerより大きな会社はいくつでもあります。
しかし、事業コンセプトがSIの方を向くのであれば、やはり技術開発に回帰してこなければならないでしょう。

「5~10年後の顧客にとっての本当の価値を創造する」ことが、技術開発の最初の一歩です。
「顧客は出来る限りエンドユーザとして価値を考えるべき」でもあります。
「顧客にとっての価値の創造」とは、コンサルティングビジネスでもあります。技術開発はただ単に研究すればいいというわけではありません。

5~10年後、SIerは顧客とともにどのような価値を、顧客の顧客(消費者等)のために提供しているのでしょうか?

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。