アーキテクトについて (1)

さて、北海道でクラーク博士に「プロのアーキテクトになる」と誓って、東京に帰って来たのである。
ゴールデンウィークは、まだ4日ほどあるので、その間に、もう少しアーキテクトについて、これから数回の記事を使って、考えを深めておこうと思う。

まず、私の中でのアーキテクト概念の源泉について、思い出しておこう。

私が、「アーキテクト」という言葉にであったのは、そもそも何時のことだっただろうか。
今から、5年ほど前になるが、業界でも腕に覚えありのM社の研修を受けたことがある。オブジェクト指向を数日かけてじっくり教えるというもので、私は随分、薫陶を受けた。
その研修では、業界でも特に有名なH氏も講壇に立った。そこで、H氏は以下のようなことを語ったのである。(もう、5年前のことなので、意訳だ。)

  • アーキテクチャが重要であり、SEとして顧客と会話をする時も、腹の中でどのようなアーキテクチャで作るかを常に考えておくこと。
  • 今までは、PMとSEとPGがプロジェクトの登場人物だったが、これからは、そこに「アーキテクト」が加わる。
  • フレームワークは、SIerにとって資産である。フレームワークを開発する際は、経営が十分にコミットしていなければならない。

この3点は、当時の私が、特に感じ入った内容として、研修後に自社のメンバーや上司に言って回ったことだ。
ここで、アーキテクトという言葉に出会ったのである。

研修では、オブジェクト指向の他に、RUPについても講義があった。
RUPでは、アーキテクチャセントリックと言われるように、特にアーキテクチャが重視される。
私は、自社でいくつかの研修講師をした経験があるが、この辺の話も十八番にしている。

余談だが、私が一緒に仕事をしたことのある、オブジェクト指向の大家はY氏だが、当時はH氏を知らなかったようである。
今では、Y氏とH氏はあるグループで啓蒙活動を一緒にやられている。業界は狭いものだ。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。