Googleで、はてな的なことをやってみる

ここ数ヶ月ほど、はてなの虜のようになっていた私が、ひょんなことからはてなを使わなくなった。でも、はてなっぽい各サービスの連携感は、やっぱりいいよなぁと思って、似たようなことが他のサービスで出来ないか?と考えてみた。
Webサービスの雄といえば、Googleである。はてなに出来て、Googleに出来ないことがあるのか?そう思って、Googleでそれっぽいことをやってみることにした。

まず、下記のような対応を考えた。

  • はてなダイアリー(ブログ) → Blogger
  • はてなブックマーク(ソーシャルブックマーク) → del.icio.us
  • はてなRSS(RSSリーダー) → Google Reader

自分がよく使っていたのは、上記3サービスだから、それに対応できれば良い。まぁ、最近のネットでの情報活用3点セットである。
あと、del.icio.usはGoogleのサービスではない。この時点で片手落ちな気がするが、Googleには今のところソーシャルブックマークがないので仕方ない。私は日常使いのブラウザがFirefoxなので、del.icio.usは実に小気味良く使える。

で、どんなもんか。

  • Bloggerの使い勝手は悪くない。自分のサーバに展開することが出来るのは、はてなダイアリーにはない特徴だ。一方、はてなダイアリーの特徴であるキーワードリンクは、当然、ない。キーワードをたどって来る読者が、はてなの場合は無視できないほど多いので、ブログのアクセス向上の観点から、それがないのは痛い。まぁ、痛いというか、はてな以外で、それを提供しているところを私は知らない。
  • del.icio.usはさすがに老舗である。個人的なツールとして使っていく上で不満はない。ここで敢えて「個人的」と言ったのは、「他の人はどんな記事に注目しているのだろう」という、まさにソーシャルブックマークのソーシャルな部分で、物足りないからだ。ソーシャルブックマークの概念を作り出したともいえるdel.icio.usでそんなことがあるのか?と、思うだろう。私がここで言えるのは、「英語で日常生活が出来るくらいなら、ソーシャルだろう」ということだ。(英語を勉強して、自分の世界を広げるべきか…。はてなブックマークをはじめとする日本のSBMで、英語サイトの翻訳記事が多くブックマークされているのは事実だ。del.icio.usで英語圏の注目記事を知って、翻訳して公開するというのは、ある意味、商社のようなものである。)
  • Google Readerは、なかなか優れている。少なくとも、はてなRSSよりは数倍良い。最近は、livedoor Readerの評判がかなり良いようだが、私はまだ使っていない。Google Readerで十分だ。

あと、細かいところをいくつか。

  • Google Readerにはスターと、共有の概念がある。スターはGmailでのスターと同じで、個人的に重要なものを示している。一方、共有はそれが公開できる点でソーシャルブックマーク的だが、その記事を共有に指定しているユーザ数が分かるわけではないので、違うものだ。Google Readerの共有は、Bloggerのブログパーツになる。はてなダイアリーで、自分のブックマークを公開するようなものだ。
  • モバイルの充実度。これは、日本のサービスであるはてなが圧倒的に優れている。これは、越えられない壁があるだろう。Bloggerはケータイから投稿できるが、ケータイ用の表示画面はない。Google Readerはケータイに対応している。del.icio.usは、どうだっけ?
  • はてなツールバーは便利だ。しかし、Googleツールバーと、Firefoxのdel.icio.usのプラグインを使えば、同様の使い勝手は実現できる。

まとめ。
上記のように、はてなのサービスはGoogle+del.icio.usによって置換できる。まぁ、そりゃそうだろうと思う。しかし、はてなの特徴は、それらのサービスを緊密に統合している点である。そして、日本のサービスであるだけに、日本人ユーザが圧倒的に多い。また、ユーザの活動も活発で、はてなブックマークは「論壇」と称されることすらある。
あとは、これをどう見るかだ。日本人ユーザ(趣味趣向に偏りがあるとも言われるが)の多いところで、囲い込まれたサービスを使う。それは、慣れさえすれば非常に居心地が良くなる。しかし、その一方で、囲い込まれたサービス以上の発展性が期待できなかったり、世界を狭くしてしまったり、自らの趣味趣向が(他にいる大多数のユーザというより)一部の活発なユーザに上書きされてしまったりする危惧が生じる。
実際のところは、はてなブックマークで世界が狭められるというより、自分自身が持っている世界がそれより狭ければ、かえって世界が(はてなブックマークの世界の程度には)広まるわけであり、それで十分じゃないかとも思える。

はてなは、なかなか偉大である。
私自身としては、しばらくGoogle+del.icio.usでやってみようと思う。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。