SEのキャリアパスってやっぱり分からない

@ITで記事を書いているキャリアコンサルタントの転職コラム: 加速する転職「負」のスパイラル:
面接官 退職理由と弊社への志望動機から弊社でのキャリアパスが見えてこないのですが、どのようにお考えですか?
斉藤さん えーっと……。

この質問は手厳しい。
自分も転職活動の最中ですが、こう聞かれたら、どう答えるだろう…と思います。

転職先にもよりますが、SIerだとしたら、そこでのキャリアパスなんて、自分にはよく分からないのです。
前の会社に勤めている時も分からなかったし、今も分かりません。
SEの仕事はそれなりに出来ると思っているし、辛いわけでもありません。ただ、この仕事を40代、50代になってもやっていたいと思うか?と問われると、なかなか「Yes」と言えない自分がいます。世の中の多くのSEにも同じことを聞いてみたいのですが、どうでしょうか?
(「それなりに出来る」程度に思っているから、ダメなんですかね?)

前の会社にいる時は、このまま仕事を続けていたら、そのうちグループマネージャになって(退職時はグループリーダーでした)、上手くしたら部長くらいになるかもしれない。部長になったら、それなりの収入は得られるだろうけど…。でも、部長になりたくてこの会社で仕事しているのかな…。そんなことを思っていました。その結論は出ないまま、退職したのです。2年半前のことです。
今から思うと、当時の上司であるグループマネージャや部長に、「部長になりたいですか?」「部長になりたかったですか?」と、聞いておけば良かったな。

その部長に、「井上はこれから何やりたい?」と聞かれたこともありましたが、結局大した答えは出来ませんでした。
たしか、「自分の手に収まるくらいでお客さんと1対1で作るような小さなシステムをやりたい」とか、そういうことを言ったような気がします。これが3年前くらいです。
大きな仕事は出来なくても、お客さんの満足を直接感じられるような仕事という価値観は、考えてみればその頃からずっと持っているのですね。

それって、少なくともその会社にいる限りは、望ましいキャリアパスでは「ない」と思います。
そういう仕事は売上につながらないから。
SIerのビジネスは、人月で売上が決まるビジネスです。長い間、人をたくさんつぎ込む仕事でなければならないし、出来るSEほど、多くの人を引っ張っていく人でないといけない。出来るSEを1人、そのお客さんに張り付けることで、10人分、20人分の仕事につなげるというのが、SIerのビジネスです。

私が当時、行政書士になると言い出したのも、それが原因です。
お客さんと対面して、自分だけで完結できるような仕事だと思ったのです。自分の経験とは全く違うジャンルの仕事だけど。

あぁ、図らずもこういう内容の文章になっちゃった。
これじゃ転職出来ないなぁ。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。