そのシステムをなぜ作っているか考えていますか?

私は9年ほどSEという仕事をしています。大きめのものだと4つのプロジェクトに比較的上流から携わっていて、業種は1つが金融、3つがSCMです。

そんなわけで、SCMは、少しは知っている分野だろうと思っています。でも、そもそもSCMって何よ?ということについては、恥ずかしながらあまり考えたことがありませんでした。
今さらですが、SCMの入門書を買ってきて読んでいるところなのですが、明らかに自分の中でパラダイムシフトが起きました。

「7つの習慣」の第二の習慣で、以下のようなくだりがあります。

「活動の罠」-日々の生活の忙しさに追われ、やっていることそのものに意味があるかどうかを考えないありさま-の中に自分自身を見失い、成功のはしごを昇りつめて頂上に達した時、はじめてそのはしごはかけ違いだったと気がつく人がなんと多いことだろう。非常に忙しい毎日を送りながらも、その活動自体が、実は自分の最終的な目標とは何ら関係がないという可能性が大いにあるのだ。

自己啓発書なので、あくまで個人の自己実現がテーマになっていますが、そのテーマを自分が作っているシステムに置き換えたとしたら、これが見事に当てはまるということに気づきました。

私が作っているシステム、今まで作ってきたシステムは、なんのために作ったのだろう。
そのシステムは、本当に意味があるのだろうか。
今、私にしても、ほかのプロジェクトメンバーにしても、必死に仕事をやっているとして、その必死は本当に正しい方向に向いているのだろうか。

SCMの入門書を半分くらい読んでみて、今自分が作っているSCMのシステムが、SCMを導入する本当の価値に沿ったものになっているかというと、それは違うなと思ったのです。
ちゃんと動いていないところがあったら、一時の運用として手作業でデータ修正などをすることもあります(それも結構、長い時間をかけて)。
その努力は買うけど、いくら努力してもシステムに価値が生まれるわけではないのではないか?いや、旧システムのリプレースをしただけでも、20を超えるシステムが1つになったのだから価値があるだろうと思わないでもないのですが、今後何かを生むかもしれないけれど、それはそれだけのこと。

システムがちゃんと動くように作るというのは、もちろん重要なことです。
しかし、それよりも、作っているシステムが本当に意味のあるものなのか、それはもっと重要なのだということに、今さら気づきました。(今までも言葉の上では気づいていたのだけど、実感を持って気づいたというのは初めてなような気がする。)

かけ違ったはしごなら、どれだけ努力しても、たどり着くのは間違った場所なのです。
まず、はしごをかける方向を合っているのか、途中ではしごが曲がったり、向きが変わったりしていないのか、それを確認することはとても大切なことです。

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この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。