100台のコンピュータ

スタパさんと船田さんというのは、私の学生時代のスター的存在であって、もともとはアスキーで編集者をやっていた、いまはライターとか、いろいろやっている方です。

特にスタパさんは、物欲番長などと言われていたり、自ら「衝動買い技術者」と名乗ったりして、やたらコンピュータとかを買ってはレビューを書いている人。(最近は、デジカメとか、猫の写真を載せている方が多いような気もしますが・・・。)
船田さんも負けず劣らず買いまくっている人で、有限会社タフなど、いくつかの会社を起こしたりして、SOHO本を以前出したこともあります。

そういう著者のご紹介はこの辺にして、今回ご紹介する「100台のコンピュータ」は、初版が1998年に出たという、かなり昔の本です。版元が「アスキー出版局」なのですから。懐かしい。それを、ついこの間、Amazonで中古本として買ったのです。

スタパさんと船田さんの出した本の中では、最高の名著だと私は思っています。何が名著かというと、80年代から90年代中盤あたりまでに発売されたマイコン・パソコンや、その周辺文化、さらに著者のエピソードといったものが見事にトレースされ、凝縮されているところ。

お二人と私とでは、年齢が15歳くらい離れているので、80年代前半から中頃までの記述は、私にとっては何かで読んだことのある・・・という世界でしかありません。しかし、80年代後半以降については、私が最もパソコンというものに熱かった時代であり、かつアスキーという出版社が当時醸し出していた独特の雰囲気が好きだったので、感慨深すぎるわけです。

なぜ、あの頃はあんなにパソコンばかり触っていたのだろう。まぁ、これは今も大して変わりませんが、パソコンで出来ることなら何でもやってやろうというくらいの熱さは、あの頃ならではです。ゲームは「トキオ」とか「シムシティ」くらいしかやらなかったけど、BASICやってCやってJavaやってプログラムを作ったから今の仕事に就いているのだし、CGも描いたし、MIDI音源を買い込んではDTMもやってみた。ビデオキャプチャーしてはDelphiで簡単なオーサリングもやった(Delphi自体はオーサリング用言語では決してない)。自作PCをやってみたくなったときは、わざわざ北九州から夜行フェリーで大阪日本橋まで繰り出してパーツを買い込んだりもした。一言で言えば、パソコン自体が楽しかった時代です。

同じような経験をお持ちの方には、どこかから入手して是非読んで欲しい一冊です。

船田戦闘機さんが本名で出したSOHO本。こちらは、今となっては記述が古すぎる点は否めない。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。