今日から何回かに渡って、小さなSIerの経営戦略論を書いて行こうと思います。ま、いま勉強している中小企業診断士試験の科目の一つである企業経営理論のまとめですね。
企業の使命は何か
具体的な話に入る前に、企業の使命とは何かを考えてみましょう。企業にはそれぞれミッションとかビジョンとか言われているものがありますが、そうしたものの大前提となる使命として、ゴーイングコンサーンがあります。企業は存続していかないといけないということです。
Meeting at Clyde House, Ashton-under-Lyne, 2008 / St Peter’s Community News
階層によって異なる戦略
経営戦略論と言っても、それをどのような階層の戦略として考えるかによって、その内容は大きく異なります。階層とはまず経営陣(トップマネジメント)の考える全社戦略、1つの事業を任されている責任者が考える事業戦略、そして財務・経理や営業、製造といった職域ごとに考える職域別戦略の3つです。
全社戦略=成長戦略、事業戦略=競争戦略
全社戦略のことを成長戦略ともいいます。経営陣の考えるべきとは企業の成長であるということですね。なぜ、企業は成長する必要があるのでしょう。企業の使命としてゴーイングコンサーンがあることは既に述べましたが、環境変化の激しい現代では、旧態依然としたままの企業経営では企業を存続させることは出来ません。常に環境変化に対応していかなければならないのであり、企業は成長して行く必要があるのです。(企業の成長とは単に規模が大きくなることだけを言うのではありません。)
一方、事業戦略のことは競争戦略とも言います。競合企業などとの競争に勝たなければ事業が成り立たないのです。
事業と資源展開
企業は何らかの事業を行っています。事業とは企業の持つ経営資源を投下して、利益を合わせて回収することです。そこで得る利益によって、企業は存続を実現できるわけですね。
先に企業は環境変化に適応しなければならないと書きましたが、その最たるものは企業がどのような事業を行うかです。大企業はたいてい複数の事業を展開しています。小企業では1つの事業しか行っていないことも珍しくはありません。
環境変化に機敏に対応して次々に事業を展開していけば良いのですが、そう上手くも行きません。企業の持つ経営資源は有限だからです。だから、全社戦略の最終目標は効率的な資源展開ということになります。
企業が事業を展開するとは、企業の持つ経営資源を展開することと同義です。ちなみに、経営資源とはヒト、モノ、カネ、情報です。お馴染みですよね。
SIerの経営資源
SIerの経営資源で最たるものはヒトです。プログラマやSEといったエンジニアです。他の業種だと工場における製造機械といったモノや、小売店における在庫商品や店舗といったモノが重要な経営資源になりますが、SIerの場合はヒト以外の経営資源は比較的重要ではありません。
今回のまとめ
今回は最初ということであまり小さなSIerに特化した話は出来ませんでした。全社戦略の中心課題は経営資源の展開をどのように行うかであるということ。そして、その資源展開をうまく行うことで事業を軌道に載せ、ゴーイングコンサーンを実現することができること。この2点を理解することが次の話につながってくるのです。
次回は、環境分析や事業ドメインについてまとめたいと思います。