いろいろな分野で80%:20%の法則といわれます。パレートの法則というやつです。私の本職であるシステム開発の世界でも、80%の業務はシステムに準備されている20%の機能で達成出来るといいます。逆に、80%の機能は20%の例外ケースのために準備されているというわけです。
CRMの世界でも、パレートの法則は適用されます。企業の80%の利益は20%の顧客がもたらすというものです。日本では、そこまで極端ではなく、70%の利益を30%の顧客がもたらすくらいのようです。聞いたところによると、テレビ通販では65%の利益を35%の顧客がもたらすとのことでした。業種、業態によって比率に違いがありますが、多くの利益を一部の優良顧客がもたらしていることは共通しているといえます。
詳しく見ていきましょう。この講座の第2回で、顧客の育成について書きました。顧客は、見込み客→一見客→リピート客→それ以上の優良顧客というように成長していきます。
あるセミナーで某広告代理店の方に伺った話によると、一般的な企業の顧客構造は一見客が50%、リピーターが35%、それ以上の優良顧客が15%とのことでした。そして、収益構造ではリピーターが30%、それ以上の優良顧客が70%でパレートの法則が成立します。一見客からの収益が見当たらないのはなぜでしょうか。実は、新規顧客の獲得コストがかかっていますから一見客は良くても利益はゼロ、多くのケースではマイナスなのです。
つまり、新規顧客を増やすことはもちろん必要なことだけれども、それ以上に既存顧客を繋ぎ止め、優良顧客に育成することがいかに重要かということです。これがCRMの考え方です。
CRMで顧客の情報を集めるのはなぜでしょうか。まず現状で20%の優良顧客とは誰なのかを識別するためです。その優良顧客の行動を分析することで、どうすればその関係を維持出来るかを考えます。さらに残る80%側になっている顧客に対して、優良顧客になってもらえる方法を考えます。その考える材料としてCRMでデータを集めることが大前提になるのです。(データを集めるだけ集めて、まったく有効活用出来ていないというケースが大半という話もあるわけですが・・・。)